車に数々の安全装備が増えたこともあり、交通事故による死亡者数は年々減少しています。ところが高速道路上での死亡者数は、ここ数年平行線のまま。特に停車時に追突されて亡くなる方が多いのですが、それはなぜでしょう? 楽しい行楽などの帰り、不幸な事故に遭わないための対策をご紹介します。
なぜなくならない? 高速道路で起きる二次災害
2013年、山口県の中国自動車道で、お笑いタレントの方が交通事故で亡くなりました。夜間、高速道路を走行中、中央分離帯に衝突する単独事故を起こして車外に出たあと、後続車にはねられたという不幸な事故でした。当時はニュースで大きく取り上げられたので、覚えておられる方も多いのではないでしょうか。
このように高速道路上で停車中、後続車に追突されて死亡するケースがとても増えています。高速道路で起きた死亡事故のうち、約20%がこのような二次災害によるものだそうです。なぜこのような事故が後を絶たないのでしょうか。
事故を呼ぶ2つの原因。まずは安全への意識を!
第一の原因は、停車しているドライバーと運転しているドライバーの、意識の差だと言われています。何らかの理由で高速道路上に車を停めたドライバーは「後続車はこの車を認識して速度を落とし、ぶつからないはずだ」という考えを無意識に持つそうです。かたや、運転中のドライバーは「高速道路に人は歩いていないし、停止している車も滅多にないはずだ」という意識を持っているそうです。つまり双方が自分に都合よく考え、安全意識が低くなっているということですね。
第二の原因は、物理的な問題。標語にもなっていますが、「車は急に止まれない」という問題です。私たちは免許を取得する際に学習しましたが、車の停止距離とは空走距離と制動距離を足したものです。空走距離は、ドライバーが異常を認知してブレーキを踏むまでに進む距離。制動距離とは、ブレーキが車を停めるまでに進む距離。例えば時速100kmで走行していれば、停止距離は84mになります。どんなに優れたドライバー、優れた車でもこの距離を縮めることは難しいです。タイヤがすり減っていたり、雨が降っていれば停止距離はさらに延びます。
まずは家族と自分の安全を確保! それから二次災害を防ぎましょう
このような事故を未然に防ぐには、以下の3つを心がけましょう。 何らかの原因で停車せざるを得なくなったときは、路肩に車を停め、退避帯やガードレールの外側に避難する。車内に残らず、道路上にも立たない。 安全を確認してからハザードを点滅させ、発煙筒を焚いて車の後方に置く。次にトランクから三角停止表示板を取り出し、発煙筒のさらに後方に置く。携帯から110番や、道路緊急ダイヤル#9910に通報する。または1kmごとに設置されている、非常電話を使う。
これから夏に向かい、行楽や旅行などで高速道路を使う機会が増えていくと思います。高速道路は便利で快適ですが、多くの車が高速で走行する分、危険も大きいことを忘れないようにしたいものです。大切な家族を守り、楽しい思い出を残すためにも、安全運転を心がけましょう。
文/長田 小猛