春はさまざまな出会いがある季節です。例えば今日、初対面の人と会う予定があるとしましょう。目的は商談や面接、友達の紹介など、いろいろあると思いますが、緊張を感じることはありませんか? それを何とか和らげることができたらいいですよね。
書籍『人前で緊張しない人はウラで「ズルいこと」やっていた』は、心理学者の著者が、社会心理学の観点から緊張の克服法を段階別に解説する一冊です。
緊張していない「演技」をする
緊張しているときの気持ちを表現するとしたら、"ドキドキ"という言葉になるでしょうか。本書によると、緊張時の"ドキドキ"と、興奮時の"ワクワク"は、言い表し方が違っていても、私たちの体内ではどちらも同じ生理反応が起きているのだそうです。
違うのは、人それぞれの「受け止め方」。ドキドキという言葉からは不安でネガティブな要素を想像しがちですが、ワクワクという言葉であれば、楽しくポジティブな連想も浮かびやすいですよね。緊張を感じたときは「ワクワクしてきた」ととらえ、「自分に言い聞かせる」のが有効だといいます。
「緊張しい」の人は、「緊張していない"演技"をすればいい」と著者。人からどう見られるかではなく、自分の気持ちをワクワクの方向に寄せるような「意味づけ」に集中するといいのだとか。何度か繰り返して、ワクワクの感情が板につけばしめたものです。
「ワクワク」でパフォーマンスもアップ!
緊張時につい唱えがちな「落ち着け」というワード。実はこれ、禁句なんだそう。
アメリカの大学生を対象にした実験によると、採点付きのカラオケをする前に、自分に「落ち着け」と言い聞かせたグループと、自分に「ワクワクしてきたぞ」と言い聞かせたグループとでは、後者のほうが約20点も高い点数をマークしました。さらに、特に自分との会話はせずに普通に歌ったグループも、「落ち着け」のグループより約10点、点数が高い結果になったといいます。どうやら「落ち着け」と念じることは、かえって逆効果になるようです。
また、人付き合いで緊張しないコツは、相手に対して「あまり高い期待を持たないこと」。人への「期待値」をあらかじめ下げておき、名刺交換ができればいい、時間を共有ればいい、と割り切っていれば、人と会うのに緊張しなくなるそうです。
新年度入りで出会いの多い今の季節、時にはズルいテクニックを使ってみては?
文/小林みさえ
『人前で緊張しない人はウラで「ズルいこと」やっていた』
(内藤誼人/大和書房)緊張する心のメカニズムを、ケーススタディーやエビデンスをもとに解説。すぐに実践できる「緊張しない」テクニックも豊富に紹介されています。「緊張=自己を奮い立たせる"力"」になるところまで導いてくれる、緊張克服指南書です。