60代以上のシニア世代のホンネを探る「"今どきシニア"のホンネ」連載。第一回目は60代以上が言われたくない「NGワード」を見てみましょう。
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65歳以上の高齢者が日本の総人口に占める割合は27.7%。約3.6人に1人が 65歳以上の高齢者(平成29年度総務省統計局発表による)となった今、世代を問わないコミュニケーション力が必要となっています。例えば親世代と会話するとき、また年上の友人と言葉をかわすときなど、お互いに遠慮のない間柄だからこそ、何気ない一言で相手を傷つけているかもしれません。大切に思うあの人にそっぽを向かれないためにもNGワードを学んでいきましょう。
※2016年11月実施 『毎日が発見』読者モニター調査(109人)より
平均年齢:68.2歳、女性96.4%
●言われて嫌な言葉は?
「あれ?ちょっと老けましたか?」...など
~外見の変化に関する言葉~
「顔色が悪いですよ」、「髪が少なくなりましたか?」、「姿勢に気を付けたほうがいいですよ」など、見かけに関わる言葉が心にグサッときたという回答が多数。また、痩せた、太ったなど年齢を重ねるにつれ変わる体型についてストレートな言葉に傷つくという声や、転倒に気を付けてゆっくり移動するように心がけているのに、「早くしてください!」と言われるとイラッとするなど、行動面を揶揄されたくないという意見もありました。
「ちょっと空気読んでください」...など
~言い方、表現の仕方に関する言葉~
これは若い人の間でもよくささやかれる言葉。いわゆる「K(空気が)Y(読めない)」と言われるものです。「ちょっと言い方がきつくないですか」、「命令口調になっていますよ」、「気取った感じがします」などの言葉にドキッとしたという人や、「考え方ががんこですね」、「古くさい」、「考えすぎですよ」などといった言葉にストレスを感じたという声も見られました。
「ちょっと若作りしていませんか?」...など
~アンチエイジングの努力を指摘する言葉~
「今日、少しお化粧濃いですね」、「若く見せるため頑張ってますね」、「なんだかメイクに品がありません」などの、老けて見えないように努力していることを指摘されるとショックを受ける人が多い様子。なかには、「いつもお綺麗ですねと言われることもあるけど、なんだか嘘くさいと感じる」という意見も。
番外編 ~こんな意見もありました~
ご近所づきあいや遠くの親戚など、少しだけ距離を置いたお付き合いをしている人へも配慮は必要です。例えば、「息子さん、まだ独身ですか?」、「ご主人が毎日家にいて大変でしょう?」、「おひとりでお寂しいのでは?」などの言葉にグサッときたという意見もあります。また、「お元気そうでいいですね」と声をかけられ、余計なお世話だと思った、という声も。
他意はなくても少し踏み込んだ発言には気をつけましょう。知らないうちに人を不快にさせてしまうのかもしれません。
●では、言われて嬉しい言葉は?
ダントツで1位だったのが「お若く見えますね」。次に明るい、健康的、品がある...と続きます。実際にかけられてうれしかった言葉は「いつも変わらないですね」、「チャーミングですね」、「親しみやすいですね」という体験談もありました。
人は誰でも周りからよく見られたいという心理が働くものです。例えば、若く見られるのを期待して頑張っているからこそ、「若作り」だと言われると傷つく、「老けた」と言われるとグサッとくる。親しみやすく思われるのを期待して頑張っているからこそ、「空気が読めない」と言われると心が萎えてしまう。
それは自分も他人も同じことです。大事なのは相手が頑張っていることを素直に認めてほめることなのかもしれません。
まとめ
いずれにしても、自分が傷つく言葉は他人も傷つけてしまう可能性があることを忘れないようにしたいもの。少し老けたかな?と感じても、「年を重ねて味わいが出てきましたね」と言ってみる。がんこで空気が読めない人だなと思っても「お話ができてよかったです」、あれ?化粧が濃いかな?と思っても「チャーミングですね」などなど...。
言われて嫌な言葉を知り、うまく言い変えてアウトプットすることでいつものコミュニケーションをスムーズにしていきましょう。
次回は「"今どきシニア"が何に幸せを感じているか?」のホンネに迫ります。
文/中島典子