最近「インバーター」という言葉が聞かれなくなってきたワケ/身のまわりのモノの技術(37)【連載】

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昔は鈍い人のことを「蛍光灯」と表現した。当時の蛍光灯が、スイッチを入れてから点灯するまでに数秒かかったからである。しかし、最近のものはすぐに点灯する。これを可能にしたのがインバーターである。

インバーターは電流の周波数を自由に制御する装置である。主要部品は整流器、直流を切り刻む半導体スイッチ素子し、マイコンの三つである。整流器で電流は直流に変換される。マイコンは半導体スイッチ素子を操って直流を思いのままに切り刻み、求めに応じた周波数の交流を作るのだ。

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インバーター蛍光灯が瞬時に点灯するしくみを調べてみよう。点灯するには蛍光管に電流を流さなければならないが、最初に高電圧が必要だ。以前はグローランプの放電を利用してその高電圧を得たため、待ち時間が必要だった。しかし、高い周波数を簡単に作れるインバーターは、トランスの力を借りて瞬時に高電圧を発生させる。こうして蛍光灯はパッと点灯するのである。

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インバーター蛍光灯は目に優しい。これもインバーターのおかげである。家庭用電流の周波数は50〜60ヘルツだが、従来の蛍光灯はそれを直接利用していたため、チラついてしまう。ところがインバーターは高周波に変換してから利用するため、そのチラつきがないのだ。

「インバーターエアコン」「インバーター洗濯機」など、少し前にはインバーターという言葉が盛んに宣伝に用いられた。しかし、最近は目立たない。理由は単純。インバーターを利用するのが当然になったからだ。インバーターは快適で省エネの電気製品を実現するのに必要不可欠になったのである。 

例えばエアコンは、インバーターを用いて周波数を制御することで、モーターの回転を自由にコントロールでき、微妙な温度調整を可能にしている。従来のエアコンは、電気のオン・オフで温度を調整したため、温度が決められた範囲で無駄に上下し、快適な温度を保てなかったのである。

涌井 良幸(わくい よしゆき)
1950年、東京都生まれ。東京教育大学(現・筑波大学)数学科を卒業後、千葉県立高等学校の教職に就く。現在は高校の数学教諭を務める傍ら、コンピュータを活用した教育法や統計学の研究を行なっている。
涌井 貞美(わくい さだみ)

1952年、東京都生まれ。東京大学理学系研究科修士課程を修了後、 富士通に就職。その後、神奈川県立高等学校の教員を経て、サイエンスライターとして独立。現在は書籍や雑誌の執筆を中心に活動している。

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「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」
(涌井良幸 涌井貞美/KADOKAWA)
家電からハイテク機器、乗り物、さらには家庭用品まで、私たちが日頃よく使っているモノの技術に関する素朴な疑問を、図解とともにわかりやすく解説している「雑学科学読本」です。

この記事は書籍「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」(KADOKAWA)からの抜粋です。
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