『16歳で帰らなくなった弟』の著者のきむらかずよさんに、弟さんについて、そして当時の心境についてお話をうかがいました。
――弟さんがある日突然帰らぬ人となり、現実を受け止められない日々が続いたかと思います。弟さんがいなくなったことを強く実感したのは、どのような時でしょうか。
きむらさん「それまで賑やかだった家が、シーンと静かになりました。毎日8時になると来ていた友達も来なくなり、こんなにも家の中が変わるのか...とひしひしと感じました。
でも、弟が亡くなった後も『ただいま』と帰ってくるような気配を感じたことは、一度や二度ではありません。おそらく両親も同じように感じていたと思います」
――弟さんの死はもちろんですが、同乗していた身元不明の女の子を描くのも相当辛かったことと思います。描くと決めた時はどのような心境だったのか、教えていただけますか。
「弟のことを描くのは、本人との約束でもあったので迷いはありませんでした。でも女の子は嫌ではないだろうか...と相当悩みました。
描かないことを選択する方が楽ではありましたが、自分だったらどう思うだろうと何度も自問自答し、悩みに悩んだ末に描くことを決めました。
『忘れられること』『なかったことにされること』が亡くなった人にとって一番悲しいことではないか...と思ったからです。
単なる被害者ではない、弟が女の子を乗せてしまった、という十字架を背負い、大切に大切に描きました」
かけがえのない存在だった弟さんをある日突然亡くしたきむらさん。その辛い経験から考えさせられるのは、今ある日常は決して「当たり前」ではないということ。平穏無事に暮らせる日々のありがたさに、改めて気付かされます。







