「もうダメだ!」―人生の逆境を乗り越えるために必要なものとは

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人生とは予測がつかないもの。うれしいこともたくさんありますが、困難に直面することもたびたびあります。

『すべては導かれている 逆境を越え、人生を拓く 五つの覚悟』の著者である田坂広志さんは三十数年前、30代前半の時に大病を患い、当時の最先端医療でも助からないと医者から宣告を受けて"救いようのない逆境"をさまよいます。しかし、一人の禅師との出会いによって「すべては導かれている」と思い定め、今この瞬間を「生き切る」覚悟を決めました。

本書では、大病をきっかけに人生の在り方を深く洞察した著者が、人生の逆境を越えるために思い定めた"五つの覚悟"について説いていきます。一部を紹介しましょう。

 

すべては「導かれた出来事」

誰でも、自分がラッキーと思える出来事には喜びを感じます。反面、苦労、挫折、喪失、病気や事故など、不幸と感じる出来事には、嘆いたり憤ったりするもの。けれども当初は不幸に思えたことも、振り返ってみると実は幸運の始まりだったということが往々にしてあります。

ですから、良い・悪いの事象にとらわれることなく、自分に起こる幸運な出来事も、不幸な出来事のどちらも「導かれた出来事である」と捉えられる感覚が大切なのだそうです。そして、その感覚が積み重なり、両方を受け止める"覚悟"に変化したとき、すべての出来事に対する「意味合い」を考え始めることができるといいます。

 

逆境は成長の機会

苦難の中にある時、人はどう考えるでしょうか。そこから脱出するために早く成功したいと願う人もいるでしょう。ところが著者は「人生において"成功"は約束されていない」という真実があるといいます。確かに、人生には失敗や敗北がつきものです。

一方で、「人生において"成長"は約束されている」と著者は指摘します。たとえ失敗や敗北で終わったとしても、それを糧とすることができるからです。

あなたが、もし、いま、厳しい逆境の中にあるならば、
辛い失敗や敗北の中にあるならば、
いま、あなたには、
大きく成長できる、素晴らしい機会が与えられているのです。

その逆境を「成長の機会」と解釈してさらに成長するために歩み続け、尽力するうちに"不思議な大いなる何か"が働き、「成功」へと導いてくれることもあるといいます。

そう考えると、人生とは競争の一面もあるので、ある種の勢いや野心がないと「成功」を手にするのは難しく感じられますが、たとえ失敗や敗北で終わったとしても、全力で取り組んだ分だけ新たな知見を得ることができ、自分自身を「成長」させていけるのではないでしょうか。


文/小林みさえ

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『すべては導かれている 逆境を越え、人生を拓く 五つの覚悟』

(田坂広志/小学館)

誰もが一度は経験するであろう人生の逆境。果たしてそれは不幸なことなのでしょうか。人生に対する覚悟の形成や「導き」の関係性、「大いなる何か」への考察など、思想家の著者が冷静な視点から分かりやすく解説しています。

 

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