『先輩は綺麗な人だった』などの漫画がSNSで大きな話題を集めた理系女ちゃん(@rikejo_chan)さん。完全描き下ろしの新作『努力は裏切らない?』は、恵まれない境遇から努力を積み重ね、社会的な成功をつかんだ"天才女子大生"が主人公となっています。執筆の背景について、お話を伺いました。
成功のきっかけは努力なのか、それとも......
主人公・きららは同級生たちと自分を比べて劣等感を感じ、"親ガチャ"にも失敗したと悩んでいます。勉強に打ち込んで東大に入学しますが、そこで待っていたのはさらに格差が広がった環境でした。
その後、ひたすら努力を積み重ねることで、海外の有名大学院に進学する権利を得た彼女。逆境から自分の努力だけで這い上がったという自負心から、世間の人々に「努力は絶対裏切らない」と強く訴えかけるのでした。
しかし漫画の後半、きららの同級生だったという人物が意外なエピソードを暴露。きららはSNSで貧乏な家庭の生まれだとアピールしていたものの、脚色が多く含まれていて、実際にはそれなりに恵まれた生まれだったと指摘します。その姿は、まるで「努力教の教祖様」のようだと......。
努力が報われない人もいる現実
──この作品を読んだ読者に、どのようなことを考えてほしいですか?
読者には、「努力は本当に裏切らないのか?」という疑問を持ってほしいです。そして、努力だけで成功する人もいれば、環境や生まれの影響で努力が報われない人もいる現実を考えてほしいです。格差や不公平さを乗り越えるために、努力以外に何が必要なのか、人は生まれに抗えるのかというテーマに対しても目を向けてほしいです。
どんな生まれでも努力すれば成功できるという考え方は一見美しいですが、逆に成功していない人が「努力しなかった結果」と貶められてしまう恐れも。この物語は、そんな"努力教"の危険性を教えてくれているのかもしれません。