『センスいい人がしている80のこと』 (有川真由美/扶桑社)第10回【全10回】
センスよく暮らしたい、おしゃれだと思われたい、そう考えている方はたくさんいると思います。でも、センスっていったい何で、どうやったら身に付くのでしょう? 『センスいい人がしている80のこと』(扶桑社)は、50種類の仕事、約50か国を旅してきた作家・有川真由美氏が「センスいいな」と思った魅力的な人のこと、感性を磨くためにやってきたことを満載した1冊です。 今回はその中から、センスがいい人がしていた「作法」についてご紹介します。マネしやすいことばかりなので、日々の生活に取り入れてみるのもいいかもしれません。
※本記事は有川真由美著の書籍『センスいい人がしている80のこと』から一部抜粋・編集しました。
お墓参りに行くほんとうの理由
感性と知性の備わっている人の多くは、お墓参りをしている、または、お墓参りに代わる故人や祖先に手を合わせる場所や習慣があるのではないかと思います。
なぜならそれは、自分という存在を確かめ、感謝する機会だからです。
何百年、いえ何万年と命をつないでくれた祖先がいること。さまざまな命が関わって自分が存在していること。そんな自分の根っこをしっかり感じると、自然に感謝の念がわいて手を合わせ、丁寧に生きたくなります。
お墓参りやお寺は、祖先や故人になにかをしてあげる場所ではありません。
入退院を繰り返していた母が亡くなったとき、ご住職がこんな言葉をくれました。
「お母さんのことをもう心配する必要はありません。亡くなった人はみんな穏やかでいますから。それより自分やまわりの人のことを気遣い、大切にしてください」
私にとって、母との別れを現実的に受け入れていくのが、お墓という場所でした。
墓参りというと、お供えをしたり、墓石をいいものにしたり、お彼岸に行ったりと、文化的、宗教的なことを大事にしようとします。それにも意味はありますが、故人や祖先がほんとうに望んでいることは、そこではないような気がするのです。
ほんとうに求められているのは、私たちが幸せであること、命を大切にすることです。いま幸せでないのなら、もしかしたらエゴや甘えがあるのかもしれません。
どんな人生であっても、きれいな心をもち、心から満足できるような日々を送れたら、ご先祖様も「よくやったね」と喜んでくれるのではないでしょうか。
私は新刊が完成したとき、両親の写真の前に本を置いて、手を合わせます。
日ごろから目に見えないものに対して敬意を払うことで、偉大な力を与えてもらっているような感覚があります。そして、だれも見ていなくても、恥じないように美しく生きたい、「思う存分、楽しませてもらいますね」と思えてくるのです。