ローラが親友? シニアのカリスマ綾小路きみまろの意外な素顔が覗ける! メジャーデビュー15周年記念本

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「久々のファンデーション、落ち着く先はシワの中」「中高年、みんなで露天風呂に入ればトドの群れ」「父帰る、一番喜ぶ犬のポチ」

毒舌漫談でシニアに絶大な人気を誇る綾小路きみまろの『綾小路きみまろ 爆笑フォーエバー』(文藝春秋)が7月28日、刊行された。メジャーデビュー15周年となる節目の年に刊行された本書は、「爆笑スペシャルライブ」の模様を3本収録しているのに加え、直木賞作家の林真理子、タレントのローラとの対談、15周年記念インタビューを収録している。

どこからともなくメディアに登場し、気づいた頃にはすでに芸能界で独自のポジションを占めていた綾小路きみまろ。テレビでよく顔は見るけれど、そもそもどういう人なのだろう......と素朴な疑問を抱いている方も多いのでは。この記事を書いている評者もまさにそんな一人。遠からずやってくる老年時代に備え、ちょっと早いが本書でシニアのカリスマについて予習してみることにした。

本書によると綾小路きみまろは1950年生まれの66歳。日本一の司会者をめざして鹿児島から上京。長きにわたる下積み時代を経験しながら、中高年をモチーフにした毒舌漫談をつくりあげ、見事にブレイクを果たす。全国各地で開催されるライブはいつも大盛況だ。

と、ここまでは皆さんなんとなくご存じだろうが、本書収録のインタビューを読んでみるとさらに意外な事実が明らかになる。

まず漫談ライブには基本的に台本がないということ。「台本もないわけですが、本番で頭のなかが真っ白になるということは起こらないですね。つねに頭のなかを整理しておいて、言葉を組み合わせてくり出していく」(本書所収のインタビューより)。そんな離れ業が可能なのは、修業時代にキャバレーやスナック、ホストクラブ、神社仏閣などのステージで芸を揉んできたからだろう。売れない時代の苦労がちゃんと今の芸につながっているのだ。

自分のステージを録音し、移動時にはずっと聞き返しているというエピソードも印象的だ。派手な風貌とは裏腹にきっとマジメな方だろうな、とは薄々感じていたが、まさか「三割打てば名選手ですが、私は半分の五割バッターぐらいではありたいと思ってやってますね」という、まるでトップアスリートのような台詞をこの毒舌芸人の口から聞こうとは! ライブを楽しみにしている各地のファンを裏切らないため、ランニングをするなど健康管理にも気を遣っているという。このあたりはプロの仕事論としても興味深い。

本書ではまた、あのローラとの意外な交友関係も明かされている。2人は5年ほど前にある番組で共演したのをきっかけに親しくなり、今ではローラが「きみまろさんが亡くなったら、私、きみまろさんの骨をペンダントにして首に下げるの」と口にするほどの仲。対談ではローラが「どうなの? 人の毛を被る気持ちって」と毛髪に関するきわどい質問を投げかけるシーンもあってドキドキさせられる。それに対して「帽子をずっと被ってるみたいなもので、一日中ってのは結構大変なんだよ」と率直に応じているのはさすが!

本書のメインパートは、各地の公演から選りすぐられた3本の毒舌漫談ライブだ。ここについては実際に本で読んでいただくのが一番だろう。

「名前は、綾小路。顔は道路工事。体は袋小路!!」という鉄板の自己紹介ネタからスタートするライブは、中高年を題材にしたブラックなギャグの連続。「あの日の、あのプロポーズ、あの日に帰って断りたい」といった夫婦関係ネタあり、「ボディスーツ、無理して着ればボンレスハム」といった外見・美容ネタあり、「奥さん、何か残ってる? 上半身じゃなくて下半身。もう尿の検査ぐらいです」という健康ネタあり。

シニアのリアルな日常をさんざん笑い飛ばしながら、随所でほろりとさせたり、青春時代をふり返ったりという緩急も心憎い。これはリピーターが続出するはずだ、と大いに納得した。高いプロ意識から生まれる安心安定の芸は、プレきみまろ世代の評者でも十分楽しめた。

あえて本書の短所をあげるなら、読んでいるとつい文中のネタを声に出してみたくなり、家族にげんなりした顔をされること、カバーをかけずに人前で読むのがちょっぴり恥ずかしいことか。大人気の爆笑ライブと同じ効能・効用があるはずなので、きみまろファンの両親・祖父母へのプレゼントにもオススメです。

 

文=朝宮運河

 

 

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綾小路きみまろ 爆笑フォーエバー
(綾小路きみまろ / 文藝春秋)


稀代の毒舌漫談家にして、全国中高年のスーパーアイドルといえば、綾小路きみまろさんをおいて他にありません。先行き不明のこの世の中、くよくよしても始まりません。笑う門にはからなず福がやってきます。ここはひとつ、お腹を抱えてワハハと笑ってみようではありませんか。
 
この記事は『ダ・ヴィンチニュース』からの転載です。

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