感染力の高い「はしか」。とくに20 代後半~40代は要注意!
2018年6月現在、沖縄や九州、 愛知県、東京都などの一部地域で、 はしかの感染事例が報告されています。はしかは空気感染、飛沫感染、 接触感染など、さまざまな感染経路があり、他の感染症に比べて非常に感染力の強い疾患です。それだけに、感染の鎮静が急がれています。
はしかは麻疹(ましん)ウイルスによって起こる急性の感染症で、免疫を持たない人が感染すると、ほぼ100%発症します。感染すると、 10 ~12 日程度で、 38 ~ 39 ℃の熱やせき、そして口内にコプリック斑という白い斑点が生じます。その後、少し熱が下がった後に39 ℃以上の高熱が出て、 全身に赤い発しんが現れます。
●はしかの症状
「はしかの怖いところは高い感染力です。最も感染力が強いのは、発しんが出る前のカタル期。 感染者自身がはしかと気付かずに行動し、周囲にうつすことも。 また、重症化すると、肺炎や脳炎などの合併症を起こすこともあり、死につながる危険性もあります」と、国立感染症研究所 感染症疫学センター第三室室長の多屋馨子先生。
はしかの予防は、ワクチン接種が唯一の方法です。「はしかと風疹の混合ワクチンが一般的で、2回接種します。1回目で免疫が付かなかった人に付けることと、身に付いた免疫を、2回目の接種でさらに増強するためです」(多屋先生)。
現在、子供はワクチン2回目の接種率が向上し、流行予防の目安となる95%以上までわずか。ですが、 ワクチンの予防接種制度は年代ごとに異なるため、1回接種のみの197 2 年10 月 2 日~89 年度生まれの人(28 ~46 歳)は免疫が不十分で、免疫をもってい ない人は全ての年代に数%います。50 歳以上の人は、子供の頃にはしかにかかって免疫ができている人も多いと見られます。
「ワクチンの接種歴は、母子健康手帳の記載が確かです。未接種の場合、自費にはなりますが、 医療機関でワクチン接種(1万円程度)を受けることができます。記憶が曖昧な場合、 40 代までは早期のワクチン接種を。 50 代以降は、免疫があるかどうかの血液検査(2000~7000円程度)を受け、免疫が低かったらワクチンを接種してくだ さい」(多屋先生)。
はしかの患者数は4分の 3 が 成人で、免疫の不十分な人が一定数いると考えられます。身近に接種歴罹患歴が不明な人がいたら、まず記録を確認後、ワクチン接種をすすめましょう。
取材・文/笑(寳田真由美)
多屋馨子(たや・けいこ)先生
国立感染症研究所 感染症疫学センター第三室室長、 医学博士。小児科医