『OK食材、NG食材もズバリ! 認知症を防ぐ最高の食べ方』 (山根 一彦/KADOKAWA)第3回【全10回】
大好きだった祖母が認知症を発症したことをきっかけに、認知症の予防法の普及に生涯をかける決心をしたという山根 一彦さん。医学博士として、認知症専門人材の育成、教材開発に携わってきました。これまで多数の認知症関連書籍の監修・執筆活動を行ってきた山根さんが、著書『OK食材、NG食材もズバリ!認知症を防ぐ最高の食べ方』(KADOKAWA)で伝授しているのは、認知症の最新情報や、認知症を予防、改善するための食材や食べ方です。今回はその中から、認知症リスクを減らすために毎日食べたい食材の食べ方と選び方をご紹介します。
※本記事は山根 一彦著の書籍「OK食材、NG食材もズバリ! 認知症を防ぐ最高の食べ方」から一部抜粋・編集しました。
【OK食材】ブロッコリー
―――イソチオシアネートはすごい
野菜の中でも、とくに積極的に摂っていただきたいのが「アブラナ科」の野菜です。
アブラナ科の野菜にはビタミン類がたっぷりで、また、「ファイトケミカル」と呼ばれる植物性化学物質の一種の「イソチオシアネート」という成分が多く含まれているのもポイントです。
アブラナ科の野菜には、認知症予防に欠かせない「抗炎症力」「解毒力」「抗酸化力」という3つの力が備わっています。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
まず抗炎症力についてです。
炎症が認知症の主な原因であることは述べたとおりですが、アブラナ科の野菜の成分は、不要な炎症を抑える力に優れます。 たとえば葉酸(ビタミンB9)などのビタミンB群は、「ホモシステイン」の上昇を抑えるほか、脳の神経細胞に働きかけて記憶力や思考力の低下を防ぎます。
またイソチオシアネートも、抗炎症力に優れた成分です。
次に解毒力について。私たちは、大量の「毒」に囲まれています。それでもすぐに死ぬことがないのは、その毒を処理し外に出す解毒力が備わっているからです。
この解毒の作業のほとんどを、肝臓がこなしています。その具体的プロセスとしては、まず毒を「包み込んで」、肝臓の外に引っ張り出し、それから排泄しているのですが、この「包み込む」ための酵素を呼び寄せるのも、イソチオシアネートなのです。
最後に抗酸化力についてです。
認知症予防において酸化を防ぐべき理由は、アブラナ科の野菜は抗酸化力も抜群です。
ビタミンA、C、Eは抗酸化力に優れた代表的な成分ですが、アブラナ科の野菜の中でも、ブロッコリーのビタミンC含有量はトップクラスです。
さらに、イソチオシアネートの抗酸化力も見逃せません。
アブラナ科の野菜のパワーをじゅうぶんに引き出すためのちょっとした調理のコツがあります。それは「細かめに刻む」ということです。
実は、イソチオシアネートは、アブラナ科の野菜にそのままの形で存在するわけではありません。それぞれの野菜の中では、「グルコシノレート」と呼ばれる、イソチオシアネートになる前の状態で存在しています。
それが野菜を刻むと、グルコシノレートが「ミロシナーゼ」という酵素の力でイソチオシアネートに変わります。
つまり、野菜を切り刻んで初めて、イソチオシアネートが生まれるのです。切り刻んだらすぐに加熱せず、15分ほど置いてから加熱するのがおすすめです。
また加熱の際は、低温で蒸す、軽く茹でる、中火で炒めるなど、高熱になり過ぎないようにしましょう。