冬季五輪最多出場(8回)、冬季五輪スキージャンプ競技の最年長メダリスト、45歳にしていまだ現役――言わずと知れたスキージャンプ界のレジェンド、葛西紀明氏。年齢を重ねても強靭な肉体と精神力を維持し続けている葛西氏が、その秘訣を余すことなく公開した書籍『40歳を過ぎて最高の成果を出せる「疲れない体」と「折れない心」のつくり方』は、発売から2カ月で12万部を超える大ヒットを記録しています。
成果を挙げようと思えば努力は不可欠。しかし20代の時と同じやり方に固執していてはパフォーマンスが低下するばかり......。そう気付いてから、トレーニング方法を大幅に見直したという葛西氏。そして、40歳を過ぎてついに「最高の自分を作る方法」を見つけ出したと言います。そこには、スポーツの世界に限らず、40代、50代のビジネスマンにも通じるメソッドが満載。年齢に負けないパワフルな肉体と精神力を手に入れたいという方、必見です!
「疲れない体」のポイントは体幹と下半身だった!
「40歳を過ぎて、疲れない体を作る最大のポイントは、ずばり代謝を上げることです」と葛西氏。代謝が下がると、運動効果がきちんと出ないだけでなく、疲労物質を体外に排出する力が弱まり、だるい、疲れやすいなどの不調が表れるのだそう。逆に代謝が上がれば、免疫力が上がる、血行が良くなる、太りにくくなるなど、いいこと尽くしというわけです。
では、代謝を上げるには何をすべきでしょうか。葛西氏が勧める方法の一つ目は、体幹を鍛えることです。体幹が整って体の軸が安定すると、自然と姿勢がよくなり、代謝が上がるのを助けてくれるとか。二つ目は、下半身の筋肉を鍛えること。全身の筋肉の約70%は下半身に集まっているので、効率的に筋肉量が増え、代謝を上げることができるそうです。
あえて「脳を休ませる」ことで、強いメンタルを手に入れる
練習の量が結果を導き出すと信じていた20代、本番直前まで入念に事前練習を繰り返すのが常だったという葛西氏ですが、今では意識的に試技や予選をパスすることもあると言います。なぜなら、1本でも跳ぶ本数が減ることで、その分「脳を休ませる」ことができ、本番に全力を注ぐことができるから。また、無駄を省いてトレーニング時間を短縮する、休みの日は競技のことは一切考えない時間を作るなど、日ごろから脳を休める工夫をしているといいます。
向き合う時間と比例して成績が上がるのは若いときだけです。「40代以降は効率的な休暇も大切にしなければいけない」と確信しています。
ビジネスマンにおきかえても、同じことが言えるのではないかと葛西氏は指摘します。脳の休息を意識的に取ることで、ストレスが軽減され、大事な商談やプレゼンなど、ここぞという時に集中力を高めることができるというわけです。
若い頃と同じようにはできなくても、年齢に見合った「正しい努力」を続ければ、いくつになっても活躍し続けることができる。私たちが葛西式メソッドから学ぶことは多くありそうです。
文/寺田きなこ
(葛西紀明/東洋経済新報社)
レジェンドこと、スキージャンプ選手の葛西紀明氏が「40歳を過ぎて人生のピークを迎えられる秘訣」を大公開。誰もが実践できる30のメソッドに体系化し、体力を維持するフィジカル面と心を強くしなやかにするメンタル面の両方からアプローチします。