市区町村などで行う健康診断。わたしたちも毎年定期的に受けていますよね。ところで、健康診断を受けた後の健診結果には読み方にポイントがあります。
第一に、前年までのデータと比べて数値がどう変化しているのかチェックすること。
「判定基準内で"異常なし"だから安心というわけではありません。BMI判定が肥満でなくても、毎年少しずつ体重が増えていれば、来年も増加の可能性は高いはず。そうなると、肥満判定が出るのは時間の問題です。同時に、血圧や血糖値、中性脂肪の数値が徐々に上がっていたら、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病にかかるリスクが高まります」とは、日本人間ドック健診協会理事の髙谷典秀先生。
年々、体重が増えているならば食事の量を見直す、血圧が高くなっていたら塩分を控えめにして、いまより多く歩くように心がけるなど、まずは生活習慣を見直してみましょう。
賢く受ける健康診断5つのポイント
1)前年のデータとの比較が大切
健診結果を受け取ったら、異常があるかどうかだけでなく、前年のデータを見比べて数値の変化を知ることが重要。体の経年変化を知れば生活習慣を見直すきっかけになります。
2)特定健康診査が調べてくれること
市区町村の健康保険や企業の健保組合などで実施している特定健康診査は、生活習慣病のリスクを調べるのが基本です。そのため、がんのリスクは調べられません。
3)検査内容はどの病院も同じ
特定健康診査は、国が定める検査項目をすべて行うのが条件なので、基本的に同じ。一方、人間ドックでの検査は医療機関により検査項目が異なることが多いので、事前に確認を。
4)地域のがん健診でわかる範囲
地域のがん健診は、最低限のがんリスクを知ることができるのがメリット。しかし、すべてのがんが分かるとは限らないので、人間ドックでより詳しい検査を受けるのがベターです。
5)"再検査"の結果が出たら検査に行く
健診後の二次検査の受診率は、3~6割。二次検査を受けたから必ず病気が見つかるわけではありませんが、受けなければリスクは分からないままに。二次検査も含めて健診です。
健診は受けた後が大事。病気の早期発見に活用を
健康診断を受ける上で大切なことの第二は、二次検査の通知があったら放置しないこと。
「せっかく受けた健康診断で、"要精査"の結果が出た場合、二次検査を受けるのがとても重要です。精密検査を受けたから、必ず病気が見つかるというわけではありませんが、受けなければ体の不調が見逃されてしまい、健診を受けた意味がなくなってしまいます」と髙谷先生。
自分の検査値を基準範囲と照らし合わせ、再検査や精密検査、治療が必要と判定された場合は、必ず医療機関を受診しましょう。
また、日本人の死因トップであるがんの健診も受けておきたいもの。市区町村で行っているがん健診は5種類。補助があるため安価で受けやすいので上手に利用して、早期発見と予防に活用しましょう。
髙谷典秀(たかや のりひで)さん
1971年、広島市生まれ。順天堂大学医学部卒業。医学博士。日本人間ドック健診協会理事、医療法人社団同友会理事長。