健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
病気を治すのは医者ではなく、患者自身の「自己治癒力」
自己治癒力とは、人が潜在的に持っているすばらしい能力です。自己治癒力とは、「恒常性を保つ力」であり、自己修復能力、復元力、元に戻る力だとも言えます。また、視点を変えれば、自己調整能力と言っていいかもしれません。
自己治癒力にはかなり個人差があります。風邪の治りや切り傷の治りが、人によって、あるいは年齢によって大きな違いがあるのは、そのせいです。しかし、生まれつきの違いがあっても、あとからその力を高めることは十分に可能です。
自己治癒力は年齢を重ねるごとに低下していきますが、実は、自己治癒力は120歳くらいまでは働くと考えられています。つまり、うまくすれば120歳くらいまでは元気で長生きすることも可能だということです。
では、「病気が治る」とはどういうことなのでしょうか。
病気というのは、「恒常性が崩れ、そのままでは元に戻らなくなってしまい、悪化している状態」です。放置すると、早晩命も危うくなっていくかもしれません。
そのような事態に陥らないためには、まずは自己治癒力を高め、復元力を増強して、元に戻るようにすることです。風邪を例に挙げれば、直ちに仕事をやめて体を温め、水分や栄養を補給しながら、体を休めることです。
病気(疾病)が治るためには、必ずしも医者が必要だというわけではありません。しかしながら、緊急手術が必要な疾患、たとえば急性硬膜外血腫や心筋梗塞などの場合は、医者の助力が不可欠です。緊急に手術をしなければ確実に患者さんは死ぬことになります。
ただ、ここで確認しておかなければいけない点は、医者は治るきっかけを作っただけであり、医者が治したのではないということです。治癒への主導者はあくまでも、患者さん自身なのです。
医者にできることは、患者さんが治るきっかけを作るだけです。適切なきっかけを作れるのが名医だとも言えますし、逆に自己治癒力が乏しい場合は、いくら名医であっても治癒へと導くことは難しいのです。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
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(岡本 裕/KADOKAWA)
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