健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
自分の体に触れて体調を確認する習慣を
全身には360あまりのツボがあるとされています。そのなかでも、頭のツボ(経穴)の1つである「百会」は中心的なツボです。この「百会」とその周囲の「四神聡」を刺激すれば「気」が高まると言われています。
この2者への刺激で自律神経のバランスが是正されるとして、最近にわかに脚光を浴びています。
実際には、モルヒネ同様の鎮痛、鎮静効果のあるエンドルフィンというホルモンが分泌され、副交感神経が優位になり、リンパ球数が増え、自己治癒力が高まります。
ちなみに、マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくる作用、いわゆる「ランナーズハイ」は、エンドルフィンの分泌によると言われていますし、性行為でも、その一種の「β-エンドルフィン」が分泌されるとされています。
現代人の生活は忙しく、ストレスがあふれています。そのため、「だるい」「疲れた」「しんどい」といった体からのSOSを、忙しさにかまけて無視してしまいがちです。
しかし、体調の悪化に気づきながらも、対処を後回しにしているうちに、次第に感覚が麻痺して、そのうち異常を感じなくなってしまうことがあります。その結果、「未病」から本当の病気へと悪化してしまうケースも少なくありません。
けれども、この項目でご紹介するツボ刺激をはじめ、ほかの項目でもお話しした食事、便通、睡眠といった、人間の営みとしてあたりまえの事柄に注意を払い、「いつもと違うな」という違和感を大切にすれば、取り返しのつかない事態は防げるものです。
ツボ刺激によって、自分の体に触れる習慣を持てば、調子の悪さを見逃すことも減っていくでしょう。
ツボを押すという手軽なメンテナンスが、現在の健康を維持するだけでなく、将来の病気のリスクも減らすことにつながります。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
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(岡本 裕/KADOKAWA)
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