健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
肉、乳製品、脂質は控え、魚介類、大豆製品、野菜を中心に
「e-クリニック」では、完治が難しいと言われている進行度3期以上のがんから生還したサバイバー101名に協力していただき、「進行がんから治ったあなたと、治らなかった人の違いを、1つだけキーワードで選ぶとしたら、それは何ですか?」とアンケートしたことがあります。回答では、「考え方」「食事」と答えた方が圧倒的に多く、改めて、「医食同源」の重要性を思い知らされました。
サバイバーの方々に具体的な食養生法を伺うと、細かいところは人によって違うのですが、いくつかの共通点が見られます。
ここ20〜30年間の日本の食環境は劇変しました。1960年代までの低脂肪・低糖質食は、高脂肪・高糖質食へと変容し、肥満、高脂血症、高血圧、高血糖をまねき、糖尿病をはじめ、心筋梗塞、脳卒中、がんなどの生活習慣病の原因になっているのです。
心臓病とがんの発症率が高く、社会問題になっていた1970年代のアメリカで、上院に「国民栄養問題アメリカ上院特別委員会」が設置され、大規模な調査研究が行なわれたことがありました。その成果は5000ページにものぼる「マクガバン・レポート」にまとめられ、「元禄時代以前の日本人の食事がもっとも理想的」と記されているとか。
元禄時代といえば五代将軍、徳川綱吉の時代。米を主食に、魚介類、海藻類、野菜類を中心とする低カロリー食だったようです。
日本人の食生活は江戸時代を境に豊かになったようですが、一方農漁村でも、今のように高カロリーの食べ物は手に入らなかったにしろ、そこそこ栄養バランスの取れた食生活を送っていたと推測されます。飢饉などはあったとしても、現在の日本人より、はるかに健康的だったことに違いありません。
僕自身は、数年前から1日1600㎉くらいに抑え、肉、乳製品、揚げ物を控え、魚介類、大豆製品、野菜を多く食べ、栄養バランスが偏らないようにしています。
毎日、6〜7㎞は歩き、運動量は少なくないはずですが、1600㎉程度でも十分に体力は維持できています。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
「カラー版 図解 9割の病気は自分で治せる」
(岡本 裕/KADOKAWA)
文庫で大好評を博したベストセラー『9割の病気は自分で治せる』3部作のエッセンスを抽出し、読みやすく再構成したベスト版。自分の力で健康を保つための考え方&方法が満載です。