健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
元気で長生きのために欠かせない「植物の恵み」
京都大学の河田照雄教授のチームが、トマトを食べると中性脂肪が減って肥満防止になると発表してから、トマトの売り上げが伸びているようです。トマトの赤い色はリコピン(リコペンともいいます)というファイトケミカル(phyto chemical /フィトケミカルともいいます)の一種です。phytoはギリシャ語で植物のこと。chemicalは化学という意味なので、植物由来の化学物質と訳せます。
リコピンには抗がん作用があり、紫外線から肌を守る働きもありますが、トマトに限らず、どんな野菜にもファイトケミカルは含まれています。これは、動物のように自由に動けない植物が、外的ストレスから身を守るために自ら生み出した〝護身物質〞です。
1990年代にアメリカ国立がん研究所(NCI)が発表した「デザイナーフーズ計画」では、にんにくやにんじんなど40種類ほどが、がん予防に有効な野菜として紹介されています。いずれもファイトケミカルを多く含む食品です。
ファイトケミカルは、ポリフェノール群、カロテノイド群、イオウ化合物群などに大別されます。代表的なポリフェノールには、赤ワインで有名なアントシアニン、緑茶や紅茶の色素成分のカテキン、しょうがやうこんに含まれるクルクミンがあります。
カロテノイド群は、緑黄色野菜に多いβカロテン、トマトやすいかに多いリコピン、唐辛子の辛み成分のカプサイシンなど。
イオウ化合物群には、にんにくの刺激臭成分のアリシン、大根の辛み成分のスルフォラファンなどがあります。
意外かもしれませんが、鮭やカニなど赤系の色をした魚介類の色素成分であるアスタキサンチンも、ポリフェノールの一種です。
また、ファイトケミカルを摂りたいとき、実はジュースやサラダより、スープのほうがよいと言われています。細胞壁を潰すことで成分を抽出できるからです。
健康のために野菜は欠かせません。そして、食事のときは野菜から食べる「ベジタブル・ファースト」をお忘れなく。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
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(岡本 裕/KADOKAWA)
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