健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
効能だけでなく開発者の姿勢にも要注目
大抵の人は、何らかのサプリメントをのんでいるか、あるいはのんだことがあるのではないでしょうか。ここで言うサプリメントとは、いわゆる健康食品も含まれますが、2010年のデータによると、その規模はメーカー出荷額ベースで、年間およそ7000億円に達するまでに成長しているそうです。
しかし、これだけ大量に出回っていれば問題もあります。海藻を使ったある健康食品のパッケージを海藻学の博士がチェックしたところ、原料の海藻ではない別の海藻の効能が表示されていたという話を聞いたことがありますし、乳酸菌飲料のなかにも、医者の目から見て「これでほんとに腸内細菌が増えるの?」と思うような製品も存在します。巧みな宣伝文句で消費者をまどわすような健康食品は少なくないのです。
健康食品の機能性や品質をチェックするときは、効くと言われている有効成分について、複数の研究機関から出た結果を見るべきでしょう。もちろん、健康食品関連のサイトを見るときも同じです。××大学でこういう結果が出た、××名誉教授が監修している、などとデカデカと書かれているサイトをよく見かけますが、名前を貸しているだけの名誉教授などもいますから、こうした情報は鵜呑みにしないほうが賢明です。
アメリカには、ConsumerLab.comというサプリを抜き打ち検査する会社があります。市販されているサプリメントを一般の店で購入し、成分を分析し、表示どおりかどうかチェックしています。
残念ながら日本には、このような団体はありませんが、独立行政法人国立健康・栄養研究所が運営するサイトには、海外からの情報も含めて、危険なサプリメントや、話題のサプリメントの情報などが紹介されています(https://hfnet.nih.go.jp/)。
僕たちもサプリメントの取捨選択を行ない、いいものだけを推奨するよう心がけていますが、その判断の際に、とくに大事にしている点は、実は開発者の姿勢や人柄です。金儲け主義など、開発者があやしいと、製品も疑わしいものになるからです。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
「カラー版 図解 9割の病気は自分で治せる」
(岡本 裕/KADOKAWA)
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