毎週水、木曜更新!
健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
主食を控えることで摂取カロリーのバランスはよくなる
食べ物の栄養成分のほとんどは、小腸から体内へと吸収されます。小腸から体内への吸収が行なわれる際には、それぞれの栄養成分に応じた運搬役がいて、たとえばブドウ糖(グルコース)なら、グルコース・トランスポーターと呼ばれるタンパク質が関与します。
面白いことに、このグルコース・トランスポーターは、食事をする前から、ブドウ糖を運搬する準備をはじめます。そのほうがスムーズに吸収できるからです。そして、これもまた体内時計のしわざです。
体内時計は、「レプチン」というホルモンの分泌にも関与しています。食べ物をとって血糖値が高くなると、脂肪細胞からレプチンが分泌され、脳の視床下部にある満腹中枢を刺激して満腹感を覚えます。レプチンにはこのほか、糖質(ブドウ糖)や脂質を消費しやすくする作用もあります。しかし、不規則な生活で体内時計が狂ってくると、レプチンの分泌が抑制され、太りやすくなります。
要するに、体内時計に従って食事をしていないと、肥満→メタボ(高血糖・高脂血症・高血圧)→糖尿病、がんなどの生活習慣病のコースに移行してしまうというわけです。
これを防ぐには、食事はほぼ同じ時間帯にとること、そして、夕食は寝る3時間前までにすませることです。活動量が減る夜は、夕食のごはんや麺類などを少なめに。さらに、まずはサラダなどの野菜を食べてから次におかずを食べ、ごはんやパンなどの主食は後回しにすれば、野菜の繊維質でおなかが膨らみ、カロリーの高いごはんやパンなどの食べ過ぎを防げますし、膵臓からインスリンが分泌され、血糖値の急激な上昇も抑えられます。
私見ですが、〝主食〞〝副食〞という言い方は、今の時代にそぐわないと思います。カロリーの確保が切実な問題だったときもありますが、現在ではむしろ、カロリーはオーバー気味です。ならば、カロリー確保が目的の主食は、不要なのではないでしょうか。僕は基本的には主食はとらないようにしていますが、おかげさまで、標準体重キープはそれだけでOKです。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
「カラー版 図解 9割の病気は自分で治せる」
(岡本 裕/KADOKAWA)
文庫で大好評を博したベストセラー『9割の病気は自分で治せる』3部作のエッセンスを抽出し、読みやすく再構成したベスト版。自分の力で健康を保つための考え方&方法が満載です。