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健康であるためにはどうしたらいいのか? セルフメディケーションの時代と言われる今、私たちもそれなりの健康常識は身につけておく必要があります。
病気というものをどうとらえるか、医者との付き合い方、 病気にならない考え方――。ほかにも、食事の摂り方、ストレスの対処の仕方、あるいはダイエットを成功させるコツな ど、明るく元気に毎日を過ごしてもらえる有益な情報を連載でお届けします。今の生活をもう一度見直し、自己治癒力を高めるスキルを学びませんか?
交感神経への過度な刺激がさまざまな病気を作り出す
「免疫力」とは、病気やけがをしたとき、自力で治ろうとする力のことであり、「自然治癒力」「抵抗力」という言い方もします。
たとえば、風邪を引いて高熱が出たとき、薬で無理やり熱を下げなくても、水分をたっぷり摂って温かくして休めば、自然に熱は下がります。
発熱は、風邪の原因ウイルスと白血球が闘っている証です。植物がポリフェノールをはじめとするファイトケミカルを利用した防御システムで、外敵から身を守っているように、人間も白血球などを使った免疫システムを備え、細菌、ウイルス、がん細胞、ストレスなど、さまざまな敵から体を守っているのです。
ストレスによって自律神経のバランスが崩れると、病気になりやすい体内環境が作られます。そのメカニズムはとても複雑で、体内ではタンパク質などの分子レベルで、正規ルートを逸脱した化学反応が起こり、その結果、病気へと突き進んでしまいます。大ざっぱに言えば、最終的には体の防御機能である免疫システムに狂いが生じてくるのです。
ストレスがかかると交感神経が刺激されて、免疫細胞の白血球の一種である顆粒球が増加します。顆粒球は白血球の一種ですが、活性酸素をともない、体外から侵入してきた細菌や真菌(カビ)をものすごい威力で攻撃します。
ところが、新潟大学大学院の安保徹教授の研究によれば、顆粒球が増えすぎると、体に棲む常在菌まで攻撃し、炎症を引き起こすことがわかっています。
顆粒球に激しい破壊力があるのは、活性酸素のおかげです。しかし、活性酸素には細胞の老化を進行させる負の側面もあります。
そのため、顆粒球が増えすぎると、血管障害だけでなく、歯周病、胃炎、痔、リウマチなども引き起こします。つまり、顆粒球の暴走は体内をズタズタにしてしまいます。
そうなると、さらに具合が悪いことに、がん細胞やがん細胞の芽などをやっつけてくれるリンパ球が減少し、結果として免疫力は低下してしまうのです。
岡本 裕先生(おかもと・ゆたか)
1957年大阪生まれ。e-クリニック医師。大阪大学医学部、同大学院卒業。卒業後12年あまり、大学病院、市中病院、大阪大学細胞工学センターにて、主として悪性腫瘍(がん)の臨床、研究にいそしむ。著書に『9割の病気は自分で治せる』『9割の病気は自分で治せる2【病院とのつき合い方編】』『9割の病気は自分で治せる【ストレスとのつき合い方編】』(以上、KADOKAWA)、『22世紀。病院がなくなる日』(飛鳥新社)など多数。
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(岡本 裕/KADOKAWA)
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