うま味が過食を抑える。ほっと癒される。日本の伝統食「だし」はここがすごい

うま味が過食を抑える。ほっと癒される。日本の伝統食「だし」はここがすごい 01.jpg世界中から注目されている日本料理の基本となる〝だし〟。そのうま味には3つの成分があります。昆布やお茶に含まれるグルタミン酸、かつお節や煮干し、帆立貝柱に含まれるイノシン酸、干ししいたけなどに含まれるグアニル酸。これらが組み合わさることで、うま味の相乗効果が生まれ、素材の持ち味を引き出すのです。

いただいたときに心に染みて、ほっと癒やされるのも効用です。料理研究家で管理栄養士の村上祥子さんに、その効果と、おすすめのレシピを教えてもらいました。

 

だしにはこんな効果があります

1 過食を抑え、肥満を防止
うま味たっぷりの料理を食べると、舌がおいしさを脳に伝達して満腹中枢に働きかけ食べ過ぎを防止します。

2 消化を助ける
うま味成分が胃に入ると脳に伝達され、消化酵素の分泌を促進。食べ物を余さず消化し栄養素に分解します。

3 減塩効果
舌がうま味成分を感じると、しょうゆや塩などが少量でも味覚が満足。約20%の減塩効果が実証されています。

4 降圧効果
グルタミン酸が腸に入ると脳にシグナルが送られ、体温が上がります。血液循環を促進し、血圧が下がります。

5 うま味の相乗効果
昆布とかつお節を合わせると、グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果でうま味がぐんと強くなります。

 

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和洋中どの料理にも使いやすい!
「おいしいだしの取り方」

材料(できあがり400㎖分)
水...500ml
昆布...6×6㎝1枚(5g)
削り節(市販品)...大さじ2(12g)
※削り節は、いわし、うるめ、さば、宗太かつおなどの混合削り節がよい。

作り方
1.  鍋に水を入れ、昆布を加えて30分浸す。
2. ふたをせずに中火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出す。
3.  削り節を加え、強火で3分煮て火を止め、キッチンペーパーを敷いたざるでこす。

 

村上流 簡単だしレシピ

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だしがよくしみて、体の芯から温まる
「ふろふき大根」

1人分100kcal/塩分1.0g

材料(2人分)
大根...600g
昆布と削り節のだし(上記)...400ml
みりん...大さじ1
うす口しょうゆ...大さじ1
A みそ...小さじ2
 砂糖...小さじ2
 みりん...小さじ1
 酢...小さじ1
 練りがらし...適量
木の芽...少々

作り方
1. 大根は四つの輪切りにし、皮を厚めにむき面取りをする。
2. 昆布と削り節のだしに大根を加え、みりん、うす口しょうゆを加える。大根の上までだしが来ない場合は水を足し、火にかける。
3. 煮立ったらアクを取り、落としぶたを少しずらしてのせ、弱火で25~30分、大根に箸が通るほどやわらかくなるまで煮て火を止める。
4.  器に盛り、Aを合わせてかけ、木の芽をのせる。

 

取材・文/今津朋子 撮影/サダマツ ヨシハル 

うま味が過食を抑える。ほっと癒される。日本の伝統食「だし」はここがすごい
<教えてくれた人>
村上祥子(むらかみ・さちこ)さん

料理研究家・管理栄養士。1942年、福岡生まれ。公立大学法人福岡女子大学国際文理学部・食・健康学科客員教授。食材の持つ力で健康寿命の延伸を図る研究に関与。同大学にある「村上祥子料理研究資料文庫」では50 万点の資料が一般公開されている。公式ホームページはこちら

 
この記事は『毎日が発見』2017年12月号に掲載の情報です。

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