老若男女を問わず、抜け毛は悩みの種。シャンプーの時に指に絡まる抜け毛を見て、「わたしもそろそろ......」と、育毛に関心を持つようになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回紹介する書籍『育毛の真理』の著者、東田雪子さんは"髪と肌の研究者"。東田さんのもとには髪の悩みを抱えた人が日々訪れます。中には、育毛サロンや育毛器具に数百万円もつぎ込んだのに、効果がなかった人もいるそうです。間違った育毛法のせいで、むしろ頭皮の状態を悪化させていることもあるのだとか。
間違いだらけの育毛法が脱毛を促進する
「ハゲは治る、いや、そもそも人はハゲないはずだ」と主張するこの本。髪の仕組みと役割からすると、よほど特殊な病気でない限り、老化現象が始まるまで、人は基本的にハゲないようにできているのだそうです。
にもかかわらず、脱毛に悩む人がいるのはなぜでしょうか? 著者によると、脱毛を引き起こす原因の多くは、間違ったお手入れ方法にあります。雑誌やインターネット、テレビのワイドショーなど、さまざまな場面で目にする「育毛術」の中には、科学的な根拠がなく、髪に悪影響を及ぼすものも少なくないのだとか。
例えば、「頭皮をたたくと育毛にいい」という説。どこかで耳にしたことがある気がしますが、実際には頭皮をたたけば皮下組織が傷付くだけで、育毛にとっていいことは何一つないと指摘します。
シャンプーのし過ぎも問題だといいます。「脱毛の原因は皮脂」だと信じて、じっくり時間をかけてシャンプーしたり、一日に何度も洗ったりするのはNG。「皮脂」は髪と頭皮を保護するために分泌される大切な成分なので、根こそぎ取ってしまってはいけないのだそうです。
よかれと思ってやっていたことが、実は逆効果だったとは......。ですが、ご安心を。本書によると、間違ったケアが原因の脱毛は、一時的な現象に過ぎないので、適切な手入れをすれば、健康な髪がよみがえるといいます。改善までの期間は、頭皮が受けたダメージによって異なりますが、短ければ半年、頭皮下にまで影響が及んでいなければ長くても2年だそうです。
正しくないシャンプー法が頭髪トラブルを引き起こす
脱毛の原因として多いのが、シャンプーのし過ぎによる頭皮の損傷。日常的なヘアケアとしてシャンプーはとても大切ですが、正しい方法は意外なほど知られていません。シャンプーのやり方を変えるだけで、髪が復活する人もいるといいます。
本書では、8つの悪い事例が挙げられています。
1. 洗浄力の強いシャンプーで洗ってはいけない
2. 頭皮を長時間洗ってはいけない
3. シャンプーをつけたまま時間をおいてはいけない
4. 爪を立てて洗ってはいけない
5. ブラシなどを使用してはいけない
6. 髪の毛だけを洗ってはいけない
7. もむようにゆるく洗ってはいけない
8. 殺菌効果のあるシャンプーで洗ってはいけない
いかがでしょう? 無意識のうちにやっていたこともあれば、髪にいいと思ってあえて取り入れていたものもあるのではないでしょうか。
シャンプーの目的は「髪と頭皮を傷めることなく、汚れのみをきれいに洗い流す」こと。爪を立てないようにして、指の腹で頭皮全体を10~30秒でゴシゴシ洗うのが正しいシャンプーのやり方だそうです。フサフサの髪のために、早速実践してみては?
文=今井康宏
(東田雪子 / 角川学芸出版)
"髪と肌の研究者"である著者が、髪が生えるメカニズムに基づいて育毛術を解説。「ハゲは遺伝ではない」「男性ホルモンは脱毛の要因ではない」と、目からうろこの新常識を紹介。薄毛に悩む人たちの事例を紹介しながら、間違った育毛法を正していく実用書。