隣の芝生は青く見える......と思っていたら、意外とうちの芝生のほうが青いのではないか!? 「そうそう、そうなのよ」とうなずきたくなる相談から、驚き、びっくりな悩みまで、いろいろあります夫婦って。
定年後の夫婦問題はもとより、子ども世代や孫世代にリアルに起きている夫婦のさまざまな問題を夫婦問題カウンセラーの立木ミサさんと一緒に考えます。
Q 妻は家事が苦手なのですが、「やっている」と主張して困っています。
専業主婦の妻は結婚当初から家事全般が苦手なのですが、子どもが生まれてからとくに片づけが滞りがちで、洗濯物はいつも取り込んだまま、部屋にも綿ぼこりが舞っていることがあり、物置部屋にはいつもゴミがあります。私はアレルギーがひどく布団を干してほしいと頼んでも干してもらえません。子どももいるので、せめて「普通にやってくれればいいから」と言うと「私はやっている」と主張します。「片づけて」という私の言っていることがおかしいのでしょうか。(30代・男性・自営業)
A 正しいか正しくないかでは夫婦問題は解決しません。
あなたのように、片づけられない妻へのご相談は、じつは意外によくある相談です。男性の頭のなかには「女性は家事ができるもの」といった女性像があります。確かに女性のほうが家事や育児は得意なことが多いのですが、苦手な妻にとってはあなたが求める「普通」というレベルは、とても高いハードルなのかもしれないのです。
確かに家に綿ぼこりが舞っているのは、気持ちのよいものではないですし、子どものためにも「片づけて」というあなたの主張は正しいのです。ですが、夫婦というのは、いくら正しいことを主張したとしても円満への道に必ずしもつながるわけではないのですね。
ある方は、家事育児が苦手な妻に注意をし続けたところ、妻は子どもを連れて別居を始めました。夫よりも収入が多く、バリバリ仕事をする妻でした。また、ある姑は嫁に「掃除をしたら」と言ったところ、息子夫婦が喧嘩になり離婚問題に発展しました。夫も姑も正しいことを言ったのですが、言われた側は期待するような改善の努力ではなく、シャッターを下ろしてしまいます。浮気問題でも、浮気した側は当然間違いを起こしているのですが、もしも反省して夫婦を顧みた場合、どうしたらお互いを受け入れられるかということが問われているのです。
目の前の妻に正しさを求めるのではなく、どうしたらあなたが妻を受け入れて夫婦生活をしていかれるか、と考えてみることが円満への近道になります。
<まとめ>
どちらが正しいか? ではなく、どうしたらお互いが受け入れられるか、が問われています。
立木ミサ(たつき・みさ)さん
夫婦問題カウンセラー。1959年、神奈川県生まれ。これまで1200人以上の夫婦問題に接し、男女、世代を問わずに夫婦に起きるあらゆる問題に取り組んでいる。「生き苦しさ」を乗り越えるためのサポートを主軸にカウンセリングを行っている。