あなたの法律に関するお悩みに弁護士の藤川明典さんが答える「法律の泉」。今回は「自筆証書遺言」に関するお悩みに答えます。
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Q1 私が亡くなった後は、お世話になった友人のAさんに財産を残してあげたいとの気持ちを持っております。Aさんに対し「私が亡くなった後は、財産を自由に使って下さい」とお話をしていますが、どうすればこの気持ちを実現できるでしょうか。
A1 大変尊敬に値するお気持ちかと思いますが、あなたのこのお気持ちは、どのようにすれば間違いなく実行されるのでしょうか。
あなたの有り難い気持ちは、何らかの書面に残しておかないとトラブルの原因になりますし、相続人が他にいないときは国庫に帰属することになります。折角の気持ちがパーになることもあります。
そのための方法としては、(1)贈与、(2)「死んだらあげる」との贈与契約、(3)遺言書、(4)死亡後の財産の管理契約、(5)信託契約等が考えられます。(4)、(5)は年金のように一定金額をAさんに支払うと言ったように、あなたの財産の有効的な利用を目的としながら契約を結ぶものです。
今回は、(1)の贈与や(2)の「死んだらあげる」との贈与契約についてお話しましょう。これらは、あなたがお元気な内に、Aさんと契約をすることです。口頭での契約も有効とされていますが、口頭の場合、贈与についてはいつでも取消ができます。
また、あなたの気持ちを明確にするためにするうえでも、書面により贈与契約をすることをおすすめします。
なお、贈与契約は今あなたの財産をAさんにやるということですから、死んだらやると言うあなたの気持ちには合っておりませんし、また贈与税もバカになりません。この方法はその意味からもおすすめしません。
次に、「死んだらあげる」という死因贈与についてお話します。
この契約は、今契約を締結しますが、財産の移転はあなたが亡くなった時になります。その間財産が減少することもありますが、死亡した時点の財産の贈与ということになります。この死因贈与契約は、遺言と同じように考えられておりますので、この記事を参考にしていただくとよいでしょう。
これは契約ですので、相互に文書を作成して署名押印すると良いでしょう。贈与する財産についても具体的な金額まで決める必要はありません。例えば「○○銀行××支店 ふつう預金 △△△△番の預金全て死因贈与する」とか、「借金を引いた残りの財産の○%を死因贈与する」と言った書き方でも大丈夫です。記載の方法等わからない時は、法律相談をしておりますので気軽に相談下さい。弁護士には守秘義務があり、違反すると刑事罰の対象となっておりますので、安心してご利用下さい。(老友新聞社)