「51歳の私には30年前の忘れられない友人との別れがあります。予備校で知り合った彼女は、持病を抱えながらも、27歳で医学部を目指す聡明で優しい女性でした。その後、久しぶりに再会した彼女は最後まで『またね』と手を振り続けてくれました。そして、半年後に届いた訃報...。私は今でもあのときの彼女との別れの日の後悔が消えません」

■友人との別れ。私の後悔と願いとは
彼女は体調を崩すことが多く、予備校で倒れてご主人に迎えに来てもらったことが何度かありました。
ご主人から聞いたところによると、彼女は子どもの頃から心臓に持病があり、ご主人も彼女を応援しているけれど、それ以上に心配しているとのことでした。
そんなこんなであっという間に受験シーズン到来。
彼女はとても優秀だったので合格を誰もが疑いませんでしたが、冬という季節も重なり、体調がひどく悪化した中で受験することになってしまい、まさかの不合格。
まずは体調を整えてから再受験することになりました。
奇跡的に大学生になれた私は、自分の大学生活に忙しく、また療養中の彼女を外に呼び出すこともはばかられて、会わないまま1年ほどが過ぎていました。
ある日、彼女が私を含めた数人を自宅に招いてくれました。
ご馳走をいただき、楽しくそれぞれの日常を伝え、夕方にお暇することになりました。
「じゃあ、またね! いいお店を見つけたから今度は私たちが案内するよ」
そんなことを言いながら彼女に別れを告げ、私たちはおしゃべりをしながら駅に向かいました。
だいぶ歩いたころにふと振り返ると、彼女がまだ私たちを見送ってくれていました。
私が手を振ると彼女も手を振ってくれました。
それが最後の別れになってしまいました。
半年後の夏の終わりに突然の訃報。
最後に会ったあの日、彼女はどんな気持ちで私たちを見送ってくれていたのか、もっと早く気付いて何度も振り返って手を振ればよかった、と思いながらお葬式に参列しました。
ご主人のお話では、半年前に会ったときには、すでに医師から余命を伝えられるような病状だったそうです。
その経験から、大事に思う相手と出会って別れるときは、いつも姿が見えなくなるまで見送るようになりました。
私が尊敬し大好きだった彼女を思い出しながら、大切な相手の無事と幸せを願いながら。
いつか、2度目の悲しい別れの話もしたいと思います。
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