「ごめんなさい、家に帰りたいよ...」 娘から涙の連絡。幸せに暮らしていたはずなのに何が<前編>

「就職して2年の娘が同棲するため、仕事も辞め、遠い町へ行くことなりました。夫婦で反対しましたが、娘の意思は固く、やむを得ず承諾することに。娘のいない生活に慣れてきた頃、娘から連絡があり...」

「ごめんなさい、家に帰りたいよ...」 娘から涙の連絡。幸せに暮らしていたはずなのに何が<前編> 9.jpg

■同棲するため遠い街で暮らす娘。1年が経つ頃メールがきて

昔からあまり自己主張の強いほうではなかった娘が、「好きな人ができた。一緒に暮らしたいから家を出る」と宣言したのは、大学卒業後、就職して2年が経ったときでした。

やっと仕事にも慣れてきたところなのに、その仕事も辞めるというのです。

結婚したいというならともかく、同棲するために仕事を辞めて遠い街へ行くことに、考え直す気はないかと夫も私も説得を試みましたが、娘の意思は固く、私達もやむを得ず承諾しました。

春が来て、娘が家を出る日がきました。

大型のレンタカーを借り、荷物を積み込み、娘と三人で片道約7時間の引越しです。

他にも兄弟がいるので三人だけで旅をすることはめったになく、どこかウキウキして新鮮な気分でした。

他愛もないことをしゃべり、途中のパーキングでおいしいものを食べたりしながら、寂しい気持ちをお互い思い出さないようにしていた気がします。

日が暮れる頃、相手の男性が待つ家に到着しました。

挨拶もそこそこに黙々と荷物を運び入れる夫に、それぞれが手を貸しながらも、それぞれが複雑な気持ちでいました。

娘をよろしく」と言うのも何か違うような気がして、「元気でね」とどちらにともなく声をかけて、家を後にしました。

夫婦2人になった車の中は、なんとも言いようのない寂寥感に包まれ、お互い口数も少なく静かでした。

せっかくここまで来たのだからと1泊し、観光して帰路に着きましたが、そのときのことはあまり覚えていません。

夫も私も娘の話は極力避けていたように思います。

そして、私達は娘のいない生活に少しずつ慣れていきました。

それでも、遠く離れて暮らす娘の様子は気になるものです。

しばらくは、楽しそうに暮らす娘の姿をSNS等で見てほっとしたり、たまに電話で話したりしていました。

それは、家を出て間もなく1年が経とうかという頃でした。

娘から突然メールがきたのです。

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