「40代の女性です。定年退職した大伯父が燃え尽き症候群に...。そんなとき絵画という趣味を見つけ、もう一度人生の輝きを取り戻しました」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?
■絵画という趣味を見つけ、ふたたび人生の輝きを取り戻した!
今から35年ほど前のこと、絵画が趣味であった大伯父(当時60代)の話です。
大伯父は長い間勤めた会社を定年退職後、すっかり元気をなくしていました。
忙しく働くことを生きがいとしていたため、毎日「やることがない」ことが最大のストレスだったようです。
周囲は心配し、もとどおり元気になってほしいと試行錯誤しました。
何か生きがいを見つけてほしいのですが、大伯父にはこれといった趣味もなく、会社員時代に接待ゴルフなどには参加したものの、運動神経が悪く、楽しめなかったようです。
さてどうするか。
そう悩んでいるときに、親戚の1人があることを思い出しました。
それは大伯父が若かりし頃、絵画に興味があったということです。
そのことを伝えると「そういえば」と、いろいろと思い出したようでした。
若い頃は時代や経済的な理由から、上質な絵具や道具が手に入らず、絵の勉強が思うようにできなかったこと。
海外の美術館に行き、本格的な絵画に触れたかったこと。
いろいろと思い出すうちに、大伯父はあっという間に絵画の世界にはまっていきました。
まずは独学で水彩画、油絵などを始めて、もともと絵が上手だった大伯父はみるみる上達していきました。
するとあるとき、大伯父は突如フランスに渡ったのです!
「芸術といえばパリ」という憧れもあったのでしょう。
数か月の旅だったと記憶しています。
帰国後、大伯父は日本で仕事や個展を行い、少しお金ができると渡仏する暮らしを始めました。
もちろん優雅な旅ばかりではなく、バックパッカーに近いような旅だったこともあったそうです。
■フランスから帰国した大伯父が連れてきたのは...
あるとき、いつものようにフランスへ行っていた大伯父がひょっこり帰ってきました。
そのとき「先生」と呼ばれる人を連れてきました。
「先生」はフランス人の男性の画家で、子どもだった私には40歳くらいに見えました。
旅先で出会い、絵を教えてもらっていたらしく、そのまま日本に連れ帰ってきたというのです。
大伯父の家族にとっては見ず知らずの人、しかも日本語はまったく話せません。
それなのに滞在期間中はずっと、大伯父の自宅に泊めるというのです!
こうして大伯父、その妻(60代)、息子夫婦、その子どもたち3人の7人家族の家に、まったく知らないフランス人が数週間同居することになりました。
絵が好きだった私も、この期間はよく大伯父の家に遊びに行きました。
大伯父が絵を教わっている間、私は邪魔をしないように部屋の隅でおとなしくしていました。
言葉は分からないけれど、「先生」の技術は子どもの私にとって、とても斬新で衝撃でした。
「先生」は背が高くて優しくて、笑顔がチャーミングだったことを覚えています。
その後も大伯父は、もはや趣味の範疇を超えて絵画を大いに楽しみ、たくさんの作品を残しました。
かくいう私も芸術の学校に進み、大伯父が亡くなったときには道具の一部を譲り受け、それらは今でも大切に使っています。
「先生」は今でもお元気かしら。
ときどきそんなことを考えては大伯父との思い出を胸に、遠い異国を想っています。
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