「50代の女性です。来た道を引き返すのは負けたも同然? 道を間違えたと分かっていても、同じ道を引き返したくない夫のせいで、遭難寸前になった話を聞いてください」
アラフォー、アラフィフ世代の女性を中心に、実体験エピソードを寄せてもらいました。年齢を重ねると健康や人間関係、お金などさまざまな問題が発生しますが...。あなたならこんな時、どうしますか?
■迷っても前進あるのみ。頑固な夫
知り合ってから27年間、夫(55歳)は道に迷っても引き返したことがありません。
土地勘のない旅行先でも、私が「あ、さっきの道で曲がるべきだった!」と言っても「俺は絶対に引き返さん!」と、夫は怒ってズンズン前に進むのです。
私は地図を見ながら別のルートを探し、遠回りでも、そちらの道で目的地を目指すナビゲートをする羽目になります。
そこから間違えれば、さらにややこしいことになってしまいます。
私は頻繁に立ち止まり、慎重に地図を確認しながら進もうとするのですが、夫は勝手に50mぐらい先まで進んで「早く来い!」と、不満そうにこちらを振り返ります。
夫は「来た道を引き返すのは負け!」と思っているらしく、ただひたすら前にしか進むことができないイノシシのような性格なのです。
■正気か? 迷ったら引き返すのが山登りの鉄則では⁉
街中なら遠回りするぐらいで済むのですが、山道で遭難しかけたことがあります。
もう15年ぐらい前の話です。
カリブの島で、1周30分ぐらいの初心者向けの周遊ハイキングコースを体験しようということになりました。
すでに観光シーズンは終わっていたため、人は全然いませんでした。
でも、地図がありますし、定期的にカラフルな矢印型の看板が立っており、「初心者用Aコース」と書かれてあったので、安心して進んで行きました。
すると、だんだん看板がボロボロになって、文字の色も薄くなってきたのです。
最後の看板は、矢印が指してるところに道がありませんでした。
私たちは、ようやく看板のいい加減さに気づいたのです。
「午後に予約している飛行機に乗り遅れたら大変だから引き返そう!」
「絶対に引き返さない! お前だけ帰れ!」
説得する私を振り切って、夫は前に進んで行きます。
結果、30分どころか1時間経っても、もとの場所に戻ることができませんでした。
自分たちがどこにいるのかもか分からなくなり、焦った私。
夫は「ここから降りよう」と言い、海に面した断崖絶壁の斜面を、生い茂った木に掴まりながら進んで行きます。
仕方がなく、ついて行った私ですが、突然、夫がいなくなったことに気づきました。
「え? 海に落ちた?」
すると、上の方の茂みの陰から、ひょっこり顔を出して「心配した〜?」と、不気味な笑みを浮かべる夫。
「このまま、海に突き落とされたらどうしよう」と思いました。
それから必死で進むこと3時間、やっとスタート地点に戻れた私たちはホテルに向かって猛ダッシュ。
急いで空港に行き、予約していた飛行機にギリギリ間に合ったのです。
結局、私たちが辿ったのは1番長くて険しい上級者コースだったことが後で分かりました。
「迷ったら引き返す」が山登りの鉄則だと思います。
「意地でも引き返さない」という信念を持つイノシシ夫とは、二度と山登りには行かないと心に誓った出来事でした。
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