性別:女
年齢:32
プロフィール:私は現在実家を離れ、他県にて同い年の夫と1歳の息子と暮らしていますが、実家が大好きで頻繁に帰省しています。
※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。
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私が他県にて大学生をしていた12、3年前のことです。その頃両親は40代後半。20歳の私は、当時既に両親は色恋沙汰とは無縁だと思いこんでいました。父は厳格、母は誰しもが認める良妻賢母で二人とも仲がとても良かったからです。
ところが、大学が長期連休に入り実家に帰省すると、なんとなく家の様子がいつもと違います。母の口数が少ないような気がしたのです。いつもはもっと明るい母。心配ごとや嫌なことがあってもつとめて明るく振る舞うような元気の良い母が、どことなく落ち込んでいるような気がしたのです。どうしたんだろう......。
心配に思いながらも、「どうかした?」と聞いても「どうもしないよ」の一言。私の勘違いかな、と気になりながらも数日何事もなく過ごしていました。ところがある晩、隣にある父と母の部屋から何か言い合う声が聞こえます。今思い返してみても母の荒げた声を聞いたのはその時だけでした。
なんと言っていたのか、もう詳細な内容は忘れてしまいましたが、扉を隔ててこっそり聞いていた時の私自身の様子ははっきりと覚えています。ドキドキというよりもドッドッドッという表現の方がしっくりくる焦り。恐怖。
言い争いの原因は、なんと父の浮気でした。相手は、職場に出入りしている女性。しれっと年賀状もきていたのだとか......。だから住所も電話番号も分かるらしく、その女性を見に行ったりもしたそうです。
その話を聞いて、私は父よりもその女性のことが憎らしくて憎らしくてたまらなくなりました。その女性にも家庭があったので、家族に全部ぶちまけてやろうかと、思ったりもしました。
本当は父を怒らなければならないのに、直接父に問い正したことはありません。それは今でも、私の中では父は「厳格な人」だからです。
父と母のやりとりに耳を傾けていると、「離婚」という2文字が頭に浮かんでいました。
そして母が泣き出した時、頭が真っ白になり、気付くとドアを開けて母の膝小僧にすがって私も泣いていたのです。二人が別れるのは絶対に嫌でした。二人とも大好きだったからです。
結局なんとか別れ話も収まり、元の仲の良い夫婦に戻ってくれました。後から母が教えてくれたのですが、私や弟のため、出て行くのを止めたのだそうです。その時の私の様子に思いとどまったのだと。
一つ、あの事実を知って悟ったのは、いかに両親だろうとも、間違いも起こすし、いつまで経っても女と男なのだということです。私は両親を絶対的な存在だと思っていました。でもそれは違っていて、勿論そうであろうとしてくれているけれど、あくまで一人の人間。私も今は息子が出来て、やっと理解できました。夫と一緒に悩みもするし、衝突もします。離婚も珍しくない今、そうならないとも言えませんが、私も息子のため、できれば夫と生涯寄り添って、人生を楽しく幸せに過ごしていけたら、と思います。
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