もっと親孝行しておけばよかった。認知症になった母と過ごして思うこと

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ペンネーム:つむじ
性別:女
年齢:54
プロフィール:父が他界し、母が認知症になってから思った事を書きました。今は両親と過ごす時間の大切さを感じています。

※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。

◇◇◇

社会に出てから「親孝行は今のうちにしておいた方がいい」と、いろんな所で言われたものです。職場や友達のご両親、親戚、両親を失った友達などに言われたのですが、そうやって言ってくれたのも、みんなにそう思った経験があったからなのでしょう。

私自身は両親と楽しく過ごしたいと思っていても、実家を出て一人暮らしを始めるとなかなか生活が厳しく、本業の他にアルバイトをしなければ生活ができなかったため、あまり実家に帰ることができませんでした。周りの人達から親孝行をするように言われても、会うことすらできなかったのです。

さらに、私の場合、実家に帰ると「帰らなければ良かった」と思うほど追い詰められるある問題がありました。それは、母の勧めてくるお見合い話でした。

実家に帰ることが少なかった私がたまに帰省すると、母は一日中ずっとお見合いを勧めてきたのです。その強引さに、親子らしい会話などできるはずもありませんでした

父はお見合い話についてはそれほど気にしていなかったので、それだけが心の救い。父の方は「生活はちゃんとできているのか?」などと、ありきたりの質問をされましたが、必ずそんな話の最後には「お前が元気ならそれでいい」と話を終えてくれました

 

そんな両親でしたが、今振り返ってみると、もっと実家に帰って一緒に過ごす時間を大切にすれば良かったと、後悔しています。母がお見合いを強く勧めてきたのは、私が元気な赤ちゃんを産めるうちに結婚して欲しいという願いがあったからなのでしょうし、たまにしか帰らない私なので母は話す時間がないと焦っていたのでしょう。

後に私にも子供ができて分かったのですが、親は、子供と一緒にいられるだけで幸せです。

子供の元気な顔を見て、どうでもいいようなくだらない話をして、家の中でゴロゴロしながらテレビを観たり、そんな何気ない時間が大切なのです。

 

母のお見合い話は、私の結婚後当然ですがなくなりましたが、私がその後離婚したことで再開。私はまた実家を避けるようになりました。

しかし、父が他界し、母が認知症で話ができなくなったことで、状況が一変してしまいました。

今は、私を見ても何も語らない母に会いに施設に通っています。

 

私は親孝行らしいことをろくにしたことがありません。

母が病気になる前に、たった1回だけ母を温泉に誘ったことがあります。まだ温泉宿の予約は取っていませんでしたが、誘ったら母はとても喜んでくれました。

ですが残念なことに、誘った直後に母が脳疾患で半身麻痺になり、行けなくなってしまったのです。

親孝行はできるうちにいっぱいやるべきだったのでしょう。今になって後悔しても遅いのですが、今は施設の母とのんびりDVDを観ながら、週末を大切に過ごしています。

健康法や医療制度、介護制度、金融制度等を参考にされる場合は、必ず事前に公的機関による最新の情報をご確認ください。
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