性別:女
年齢:55
プロフィール:私は55歳独身です。24歳の頃、大型ショッピングモールで勤めていた時に出会った年下の大学生とのエピソードです。
※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。
24歳の頃、大型ショッピングセンターに勤めていました。銘菓コーナーに配属され、10歳年上のお局様存在の方と2人で仕事をしていました。最初は、優しく仕事を教えてもらっていたのですが、何かの出来事でお局様に意見をしたことをきっかけに、私はお局様に逆らうことができない周りの女性スタッフからいじめの対象となりました。
そんな状況を男性スタッフやバイトの男の子は察したのか、私には特別に優しく接してくれました。しかし、そのことが女性スタッフの怒りをかい、今度は「男をたぶらかし、ホテルに行って不倫までしている」との噂まで流されました。日々泣きながらも、これで辞めることは、自分に負けることと思い耐えながら頑張ったものです。
ある日、バイトの男の子の中に3歳年下の大学生がいて、その彼にある女性スタッフが私の悪口を言っているのを耳にしました。彼は、私が聞いているのに気づき、女性スタッフがいなくなった後、気にすることないよと優しく声をかけてくれました。また、不倫の噂なども「分かってくれている人は、分かってくれてるから」と。
それから、彼はよく私に話しかけてくれるようになり、自然と愚痴を聞いてくれる存在にもなりました。今思えば彼が傍で励ましてくれたからこそ、頑張れたのかもしれません。
そんな中、彼から就職活動でバイトをやめるからと言われました。ちょうど私も上階の雑貨店の専門店からオファーを受けていたので、そこへの転職を決めたところ。私は彼に「元気でね。今までありがとう」とお礼を伝えると、彼は「今度、ドライブしよう」と誘ってくれました。当時、冷めてはいましたが遠距離恋愛をしていた私。もちろん彼は異性の友達でしかありませんでした。ただそれをきっかけに一緒にドライブに出かけたり、花火を見に行ったり、よく2人で遊ぶようになりました。
ある日、彼からカセットテーブを渡され、この曲、自分の気持ちなんだよねと言われました。自宅に帰って早速聞いてみたら、浜田省吾さんの「もう一つの土曜日」という曲でした。私は浜田省吾さんといえば「ラストショー」という曲が好きで、「もう一つの土曜日」は初めて耳にする曲。その歌詞をしんみりと聞いたものの、彼の気持ちといわれても、それが何なのか理解できませんでした。
それから数日たった時に、突然彼から喫茶店に呼び出され「好きです」と告白されました。初めて、遠距離恋愛のことを彼に話すとそれを理解してくれました。最後に彼は「今から、何か辛いことがあったら、いつでもすぐに飛んでいくから」と言ってくれました。
その後、たまに彼から電話がありお互いの近況を話したりしていましたが、自然と音信不通になり、それから5年後位に街でばったり会った時、近くの喫茶店で話をしました。何を話したかはほとんど記憶にないのですが「彼氏がいても、一生結婚してほしくないな」というのが印象に残った言葉でした。そして、それが彼と会った最後でした。
それから私は、浜田省吾さんの「もう一つの土曜日」を聞く度に彼のことを思い出します。そして彼の最後の言葉通り、「私は今も結婚してないけど」と、つい笑ってしまいます。
その時は気づかなかったけれど、きっと「もう一つの土曜日」の歌詞には、当時の彼の切ない思いが込められたのかなと思います。彼は背も高かったし、見た目もまあまあ。何といっても優しいし、一緒にいて楽しかったのに......。恋愛対象として何が彼に足りなかったのか、いまだに自分にも分かりません。
若い頃の恋愛は、やはり今とはとらえ方が違うのかと思いますが、とにかく今だに忘れられない思い出です。
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