性別:女
年齢:55
プロフィール:私は、55歳独身です。私が19歳頃、野良猫のチヤ坊との思い出です。
※ 毎日が発見ネットの体験記は、すべて個人の体験に基づいているものです。
私が専門学校に通っていた19歳の秋の頃です。当時は、一軒家の平屋に父母と4歳上の姉の4人で暮らしていました。私の部屋にはガラス戸があり、その外は屋根付きの縁側で庭がありました。
ある夜の頃、私の部屋のすぐ外から子猫の鳴き声が聞こえてきたので、ガラス戸を開けると、縁側の下に置いてあった段ボールの箱の中で野良猫が子猫を産んでいたのです。箱の中の子猫を見ようとしたのですが、親猫が睨んでいたのでそっとしておきました。すると、翌日にはその箱の中には子猫の姿はありませんでした。
それから、1週間位たった頃、小さな子猫3匹が、ミャーミュー鳴きながら私の家の庭をヨチヨチと歩いていました。それはそれは可愛くて、しばらくその様子を眺めていました。しばらくして、子猫を膝にのせたり、抱いたり、また、いりこや牛乳などをあげるようになり、子猫達は頻繁に遊びに来るようになりました。その中でも特になついていたのが、1匹の雄猫でした。白色と薄い茶色の毛並みで、私は、何となくチヤ坊と呼ぶようになりました。そして、両親に内緒で部屋に入れるようになり、炬燵の中に入れてあげたり、また、一緒にじゃれあいながら遊んだりして過ごすのが、毎日の楽しみになりました。
いつも、帰宅してすぐガラス戸から下を見ると、チヤ坊が私の帰りを待っていたかのようにじっと座っていました。部屋に入りたいときはガラス戸を手でごそごそといわせてます。そうすると私はすぐに中に入れ、外に出たくなると自分でガラス戸の傍に行くので、出ていけるように開けてあげました。しばらくするとガラス戸を自分で開けて入れるようにまでなり、よく夜中に勝手に入ってきて、私が炬燵で寝ているお腹の真上にうずくまって寝ていました。途中、重くなって目を覚ますとチヤ坊が上に寝ているのでおこしたくなくて、動かずに朝まで寝る日々となりました。
チヤ坊が来るようになって、楽しく過ごしていた6カ月程経った春も近づいてきた頃、チヤ坊が元気のない目で、じっと私の庭の草の上に座っていました。私は心配になり、チヤ坊を抱きかかえ私の部屋に連れて行き、炬燵の中に入ってしばらく私の膝の上にのせて、なでていました。いつもは元気に遊ぶのに、その日は、じっと私の膝の上で目をトロンとさせて座っているだけでした。そして、チヤ坊が急にガラス戸に向かい、ごそごそといわせながら自分で戸を開けて出ていきました。それがチヤ坊を見た最後の姿でした。
私は、それ以来チヤ坊を待つ日々に。しかし、近所を探してもチヤ坊の姿はどこにもありません。同じ時に生まれた2匹はウロウロしているのに、その中にもチヤ坊の姿はなく、それでも私は、毎日のようにガラス戸の外を見て、もしかしたらチヤ坊が現れるかもしれない、と探していました。しかし、1週間経っても、半月経っても、1カ月経ってもチヤ坊の姿を見ることはできませんでした。猫は自分から姿を消して死を迎えるのだと母が言っていたので、もしかしたらとは思っても、そんな事はないと、チヤ坊の姿を思い出しては、毎日泣きながら待ちました。
チヤ坊がいなくなって3カ月たった頃、近所のおばさんから、「可愛い子猫がウロウロしているけど、その中の1匹の子猫が元気なくて、うちの駐車場にじっと座っていたら、息子が気づかずに車でひいてしまい死んじゃったの」と聞いた時、チヤ坊だとすぐに分かりました。私は、それから家に帰って、チヤ坊との過ごした日々を思い出しては、泣くしかありませんでした。この辛さは今も忘れることが出来ず、どんなに可愛くても二度とペットを飼うことができません。
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