「小さい頃に見えていた謎の黒い影。祖父の体をまとう影は日に日に黒くなっていきました。死の間際、祖父に言われた言葉が今でも気になっています」
■祖父は影の存在を知っていた?
祖父の周りに黒い影が見えるようになっていた私。
あるとき、祖父が出かける前に言いました。
「しばらく旅行に行ってくるから。帰ってきたら何でも好きなもの買ってあげるから、いい子で待っててね」
そのとき、祖父の周りの黒い影は、祖父の顔も見えなくなるほど濃くなっていたので、とても怖かったのを覚えています。
祖父が出かけてから約1週間後、授業中に先生が「今からお母さんが迎えに来るから帰りの準備しなさい」と言われ、しばらくしたら母が迎えに来たので一緒に帰りました。
自宅に帰るかと思いきや、連れて来られたのは病院でした。
病室に入る前に母から「おじいちゃんが病気で入院していて、今危険な状態だから励ましてあげてね」と言われ、訳が分からず病室に入ると、部屋中に真っ黒な影が渦巻いていました。
怖くて入るのをためらっていましたが、母に促されて病室に入ります。
耳鳴りがして気分が悪くなりましたが、衰弱した祖父の姿を見てできる限りの励ましを一生懸命しました。
しかし、私が到着して5分ほどすると、祖父は私の手を取り「お迎えが来たからもう行くな。お前は気にしなくていいから元気に大きくなるんだぞ」と言い残し、息を引き取りました。
私に黒い影が見えていることを、祖父は知っていたのかもしれません。
「気にするな」の言葉が引っかかっています。
しかし、あの影は祖父の病気を知らせていたのかなと思うと、もっと早く影の存在を誰かに話していたら、病気の早期発見ができていたら、62歳という若さで亡くなることはなかったかもしれません。
後悔すると共に、あの影が死神のようなものだったとしたら怖いなと思う体験でした。
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