「医師に対して退院させるように迫る男性。どう考えても無理な状況なのに、あまりに男性がしつこいので、とうとう医師が折れて許可を出しました。そこにやって来た男性の奥さんは...。人の振り見て我が振り直せと思った出来事です」
■喜びも束の間、真相を聞いた奥さんが飛んできて...
退院が決まって夫婦で喜び合う2人。
しかし、病室を出た奥さんは血相を変えて駆け戻ってきました。
「あんた! 何が退院よ! 婦長さんから聞いたわよ! あんた、また先生を脅したんやろ!」
「いや、俺はただ...」
「腸が詰まってるのにどうするつもりなん? ここでは点滴があるけど、家で飲まず食わずでどうやって生きていくつもりなん? あんたのせいで、明日10時には出て行かなあかんって言われたで! 明日からどないするん? ほんまにあほや!」
奥さんの剣幕に、男性はやっと事の重大性を認識し始めたようです。
奥さんは頭を抱え、男性は先程の勢いとは裏腹に「どうしよう」と哀れな声を出しています。
やがて50代くらいの婦長が来て事情聴取が始まりました。
言い訳していた男性も医師を恫喝したことを認め、どうか病院においてくださいと懇願しました。
それに対して婦長は、感情論ではなく、入退院には担当医の許可と必要書類への印が必要だと言います。
悪いことに、担当医は男性の退院処理を済ませた後、すでにシフトを終えて病院を出たとのこと。
このままでは、男性は本当に翌日には退院しなくてはいけません。
婦長は医師に連絡すると言って出ていきましたがつかまらないようで、男はただ情けない声を出すのみでした。
病室に漂う妙な雰囲気の中、面会時間を過ぎても奥さんは行き来し、必死な様子が伝わってきました。
消灯する頃にやっと医師に連絡がついたようで、深夜にもかかわらず再入院の手続きのために来院すると、婦長が伝えにきました。
男は狂喜せんばかりです。
そして日付が変わる頃、医師が到着し、男性は看護師に連れられて部屋を出ていきました。
どこか遠くで微かに男性の声が聞こえましたが、医師に頭を下げていたようです。
やがて男性は部屋に戻り、看護師が去った後も子犬のような声で「よかった、よかった」と一人繰り返していました。
若いうちは大事に至る前に諭してもらえるかもしれませんが、年齢を重ねるにつれてそれなりの目で見られます。
恥ずかしい振る舞いはするまいと感じた、人の振り見て我が振り直せの出来事でした。
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