性別:女
年齢:49
プロフィール:
3人の子持ちママです。私が42歳のときに47歳の夫が脳梗塞で倒れ、右半身のマヒと言語障害などが残りました。私自身も甲状腺の持病の他に、年齢とともに高血圧症や椎間板ヘルニアなどの病気が出てきています。
2年前の5月のことです。当時私は47歳で、女性ホルモンが低下している更年期障害まっただ中という時期でした。ある朝、いつものように朝食のご飯を口に運んでいたら、「ゴキリ!」という鈍い音が口の中から聞こえてきたのです。そして続く歯に当たる固い感触に、「あ、奥歯が折れた」とすぐに分かりました。なぜなら、昔治療して金属をかぶせてあった歯が根元から折れることが、ここ3年の間に、今回を入れて3度あったからです。
最初は、右上の奥歯で次が右下の奥歯、そして今回が左上の奥歯です。初めて歯が折れたときはさすがに驚きましたが、「また治療してもらえばいいか」くらいの軽い気持ちでいました。今までは、かぶせていた金属を外して治療をしなおし、また新しい金属をかぶせる治療をしていたので、今回も同じだろうと信じて疑わなかったのです。しかし、今回は今までとは治療の仕方が大きく変わりました。かかりつけの近所の歯医者さんは、渋い表情で「これはもう抜くしかないね」と言ったのです。
「永久歯を抜く」ということに対して今一つ実感が湧かなかった私は、かなり戸惑いました。乳歯なら抜いてしまってもまた永久歯が生えてきますが、永久歯を抜いてしまったら、もう後から何も生えて来ません。...ということは、もしかして。「部分入れ歯を作ることになりますね」漠然とした私の不安は、先生のその言葉で確固とした失望に変わりました。もう私の頭の中は特大の「入れ歯」のワードが行ったり来たりで「インプラントという選択肢もありますが」と続いた先生の言葉は入って来る余地はありません。どちらにしろ、夫が脳梗塞に倒れ、私のパート収入で家計を支えている現状で、1カ月の給料よりも高額なインプラント治療は、私の選択肢には入りませんでしたが。
「バセドウ病と高血圧の持病があるので、口腔外科を紹介しますから、そこで抜歯をして来てくださいい。その後、こちらで型を取って入れ歯を作ります」との先生の言葉は、「入れ歯ショック」がさめやらない私に、さらに追い打ちをかけました。「こちらで抜いてもらえないんですか?」わざわざ口腔外科に行くほどでもないのでは?内心少し面倒だなという気持ちが湧き上がり、先生に尋ねたところ、「口腔外科なら万が一何かあった時にも、すぐに対処ができるから、うちでは持病のある方の抜歯は皆、口腔外科を紹介している」とのこと。「例えば、血圧が急にあがってしまった場合にも、口腔外科なら点滴で血圧を下げるような治療ができるからね」との先生の説明に、大人になってから初めての抜歯体験をする私は、妙に納得しました。
そして、つつがなく口腔外科で抜歯をした私は、かかりつけの歯医者で型を取り、部分入れ歯を作りました。50歳前に部分とは言え入れ歯になってしまったショックは、さすがに大きなものでした。歯は、毎日目にする場所なこともあって、個人的には、産婦人科で閉経が近いと診断されたときよりも、ショックが大きかった気がします。こうして少しずつ、自分の歯が抜けて行くのでしょう。しかし、まだまだ人生はこれから。いつまでも自分の歯で美味しく食事をするために、「今まで以上にデンタルケアを入念に行おう!」と固く心に誓った私です。
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