「60代の女性です。お気に入りの枕がないと眠れない...繊細な夫の執念の枕救出劇の話です」
■「睡眠時間は人生の3分の1」枕にこだわる夫
年上の夫と猫と暮らす、65歳の主婦です。
夫はおおらかなようでいて、繊細なところがあります。
旅先で枕が変わると眠れなくなるタイプで、旅行の時にも家から枕を持参しています。
私はどんな寝具でもぐっすり眠れるタイプなので、そのこだわりというか繊細さがとても不思議に感じます。
夫曰く、寝具は人生でこだわるべきものの1つなのだそうです。
「人間は毎日8時間くらい眠るでしょ? つまり人生の3分の1は寝てるんだから、寝具は大切なんだよ」
理由を聞いた時、堂々とそう言っていました。
たしかに理屈はその通りです。
布団はそれほど気にならないようなのですが、夫が特に気になってしまうのが「枕」です。
枕が変わると眠りが浅くなるだけでなく、1日中、肩が凝って大変なのだそう。
以前、近所のショッピングモールに枕専門店がオープンした時は、夫は喜び勇んで出かけていきました。
そして、サンプルの枕をいくつも試し、店員さんに相談しながら「これだ!」と、こだわり抜いた枕を選びました。
お値段は1万円オーバー。
「枕に1万円も!」
枕探しに付き合った私はそう思ったのですが、満足そうな夫を見て、毎日使うものだと思えば仕方がないかな、と納得しました。
ですが、このこだわりの1万円枕を使ったのは、購入して最初の1週間だけ...。
いつの間にか押し入れにしまわれていました。
「ねえ、あの枕はもう使わないの?」
「どうもしっくりこないから戻した」
悪びれもせず言った夫に、あんなに時間もお金もかけたのにと呆れました。
■ここまできたら執念...20年物の枕を大事に使う夫
夫は、ストローの切れ端のような詰め物が入った、振るとザラザラと音がするパイプ枕が一番のお気に入りのようです。
量販店の布団セットに入っているような枕で、これをなんと20年近く使っています。
以前、夫は体調の悪い時に盛大に吐いてしまい、お気に入りの枕は悲惨なことに。
「もう長い間使っているのだから新しいものに替えよう」と泣く泣くゴミ袋に入れ、そして似たような枕を買ってきて使い始めました。
しかし、やはり眠れなかったらしく、汚れた枕をゴミ袋から救出して、じゃぶじゃぶと洗っていました。
入念に洗う夫を見かねて、さすがに私も手伝いました。
そして何事もなかったように、また20年物の枕を使い始めました。
「そこまで手間をかけるの? 同じパイプ枕じゃないの、そんなに違いがあるもの?」
夫の執念に驚いたのですが、20年物の枕ですやすや寝息をたてる夫を見て、慣れ親しんだ習慣は変わらないんだなあと思ったのでした。
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