「あの...干し野菜って、おいしいんですか?」47歳独身のトウコさんは以前から近所の家の軒先に干してあった色とりどりの野菜やきのこを見て気にはなっていました。その家の方と知り合いになり、「干し野菜」の作り方を通して交流が始まったのですが、その味に衝撃を受けたそうです。すぐ真似ができる作り方も含め、トウコさんの体験談をお届けします。
※実際に身の回りで起きた実体験エピソードに基づき構成しています。
友人の紹介で知り合った真理さんは、60代後半の独身女性。
私は近所に住んでいたので、毎朝ご自宅前の道路を掃除している彼女のことを遠目から拝見しており、一方的に知っていました。
そんな真理さんのご自宅の軒先に干してあったのは、色とりどりの野菜やきのこ。
ニンジン、カボチャ、レンコン、ゴボウにシイタケ...毎日キラキラした野菜たちを眺めながら、仕事に向かうのが日課でした。
「あの...干し野菜って、おいしいんですか?」
初めて真理さんにお声がけした際、私は思わず聞いてしまいました。
「おいしいですよ。よければ一度、召し上がっていかれますか?」
と、優しく微笑みながら答えてくれた真理さん。
後日、真理さんのご自宅にお招きいただき、干し野菜を使った昼食をご馳走していただきました。
これが、本当においしかったのです。
例えば切り干し大根。
私が知っているスーパーで売っているようなものより、しっかり太めで歯応えがありました。
「このおかずだけでも、ご飯を何杯でも食べられそう!」
それからというものの、真理さんとの話題の中心はいつも干し野菜。
「一人暮らしだと野菜が余ってしまうから、とにかく干す!って決めてるの」
そんな真理さんがストックしているのは、主にゴボウなどの根菜。
プチトマトなど水分が多い野菜は、天候や空気の乾燥具合などで失敗することがあるので、たまにしか作らないとのこと。
やはり、干すのに向いている野菜と不向きな野菜があるようです。
「初めて作るなら、朝干して夕方に取り込む半生(はんなま)の干し野菜を作ってみたら?」
そこで大根を選んだ私は、輪切りにしてザルにのせ、ベランダに夕方まで放置。
取り込んだ時には、少し縮んで表面にシワができていました。
この半生の大根を、真理さんがおすすめの"フライパンに薄くサラダ油をひいて炒める"方法で調理。
この調理法だと、素材そのもののおいしさが味わえるそうです。
焼きたてホカホカの干し大根の上から、醤油をかけていただきました。
「え!? 大根ってこんなに甘かったっけ!?」
干し野菜の醍醐味は「水分が飛んだ分、旨味が凝縮する」ことだと、真理さんは教えてくれました。
数年前に引っ越したので、真理さんとお会いする機会は減ってしまいました。
今日もあの掃除が行き届いた軒先で、せっせと野菜を干していらっしゃるのかな...なんて、小さなベランダで野菜を干しながら思いを馳せる今日このごろです。
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