他人のものを何でも欲しがる「クレクレちゃん」、あなたの周りにいませんか?
SNSを中心に大きな話題を呼んだコミックエッセイ『欲しがるあの子を止められない とんでもないクレクレちゃんに絡まれた結果、 人生を深く考えた話』は、ブロガー・ぱん田ぱん太さんが友人・きよかさんに聞いた実話をもとに描かれた作品。とんでもない「クレクレちゃん」の被害にあったきよかさんのエピソードは衝撃的です...!
エピソードの内容は?
ある日、ネイリストを目指している姪っ子さんに、ネイルを可愛く仕上げてもらったきよかさん。SNSにネイルの写真を投稿すると、「かわいい」などのコメントつきました。そんな中、大学時代の同期・チコさんから「どこのネイルサロン?」とコメントが。きよかさんとチコさんは、2人では会ったことがなく、みんなでご飯を食べるときにたまに一緒にいる程度の距離感だったといいます。
チコさんからは「どこのサロン?」「友達割引とかある?」「あるんなら紹介して~」とDMが続きます。きよかさんは、「プロのネイリストさんではないけど、上手だよね」と返信したそうです。すると...「私もやりたい、紹介して!」「練習台になってあげる。いつ行ったらいい?」とメッセージが。驚いたきよかさんは、「無理だよ~義実家に住んでる子だから...」とやんわり断りました。
これでやりとりは終わると思いきや、チコさんから「大丈夫、全然気にしないで」「義実家に行くのがダメならウチでも。ガソリン代くれたら迎えに行くよ」と謎の返信が...!
チコさんはその後も諦めません。「ネイリストを目指しているなら練習台は多い方がいいでしょ」という決めつけで、きよかさんの姪っ子さんをSNSで探しまくり、無関係な人にまで手当たり次第にDMを送り...。さらには「姪っ子ちゃんの連絡先を教えてもらえれば直接やりとりする!」と言い出すのでした。驚くと同時にきよかさんは、チコさんが他人のものを何でも欲しがる「クレクレちゃん」だったことを思い出します。
なるほど、がめつい友人が大きなトラブルを巻き起こしていく話かな...と思いきや、物語は、チコさんの問題行動をなんとかしたい彼女の夫の葛藤、さらにチコさんの生い立ちへと踏み込んでいきます。
チコさんの母は、離婚してシングルマザーになったことから節約が過剰になり、そんな母のもとで育ったチコさんの価値観も偏ってしまったーーという過去があったのです。
ぱん田ぱん太さんにインタビュー
──ブログで漫画を発表したきっかけはなんでしょうか?
ぱん田ぱん太さん:ドイツへ移住したことです。日本にいた時には体験出来なかった新鮮で面白い出来事を発信したいと思い、最初はプライベートのTwitterアカウントで時々呟くだけだったのですが、もっと詳細に面白く特別な方法で広く発信出来る方法は無いかと考えていた時、「絵日記ブログ」というものが存在することをたまたま知り、すぐに始めました。
──ご友人・きよかさんのエピソードを描こうと思ったきっかけを教えて下さい。
ぱん田ぱん太さん:きよかちゃんから話を聞いているうちに、インスタでよく見かける「変な人が現れ、スカッと撃退」といったマンガではなく、もっと深く踏み込んだ内容の特別なマンガが描けるかもしれないと思ったことです。
──ネイル写真をアップしたことをきっかけに、予想外の方向に展開しますね。この話をきよかさんから聞いて、どんなことを考えたのでしょうか?
ぱん田ぱん太さん:対人関係のトラブルに巻き込まれることは、多かれ少なかれ誰にでもあると思うのですが、その時に「この人は変な人だなあ」とだけで終わらせずに、その人の背景に何があったのか、なぜその人の中でその変わった価値観が構成されていったのかを知ることはとても興味深く、大事なことだと感じました。そうすることで自分自身を省みたり、再び対人関係トラブルに巻き込まれた時のうまい立ち回り方にも繋がるのではないかと思いました。
──読者の方からどんなコメントがありましたか? 引用RTやリプライのコメントで印象に残っているものがあれば教えて下さい
ぱん田ぱん太さん:ご自身も家庭環境に問題があったという方々から、チコさんの気持ちが分かる、チコちゃんのように価値観が捻じ曲がってしまった人が救われてほしい、という内容をたびたびもらい、特に印象に残っています。変な人が変な人というだけで終わらされてしまうことが多い世の中なんだなと感じました
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冒頭のエピソードからは予想のつかない深いテーマと意外な読後感に、思わずシェアしたくなる本作。あなたはどんな感想を抱くでしょうか?