鹿児島に暮らす、結婚して50年を迎える両親。定年後の毎日を穏やかに過ごしていると思っていたら...ある日、父が突然消えた!? 軽自動車に布団を積んでいると聞いた娘が父に連絡すると、父は「家出をして北海道へ行く」と言うのです。観光名所や子どもたちの家を訪れ、様々なハプニングにも見舞われながら一路北を目指す父の「目的」は？ そして、母との離婚問題、家族の行方は...？ SNSで話題の漫画『ある日突然父が消えました』の作者であり、4兄弟の末娘である花池すずさんに、当時のお話をおうかがいしました！
──『ある日突然父が消えました』を描こうと思ったきっかけを教えてください
私の家族は本当に個性的（！）で。「家族の中で一番私がまともなのではないか?」と思いながら育ってきました。SNSに色々なジャンルのエッセイ漫画を投稿していたのですが、「家族のエピソードがもっと見たいです！」というコメントやDMを数件いただき、家族を題材にしようと思ったんです。「一番驚いた家族のエピソード」を考えたところ、最初に思い当たったのが「父の家出」でした。
──結婚50年目になるという花池すずさんのご両親。普段のおふたりの様子はどのような感じでしたか？ 離婚騒動になるような兆候はあったのでしょうか？
私は実家から大分離れたところに住んでいるのでふだんは電話での交流しかないのですが、父の定年後も夫婦仲良く暮らしているように思えました。帰省した際も笑顔が多く見られ、今までと変わらなかったので、離婚の兆候などは特に感じられませんでした。今思うと、ときどき実家近くに住む姉から「父と母がよく喧嘩をしている」という連絡はありました。しかし、離婚の話が出ているとまでは思っていませんでした。
──「家出をした」、そしてお父さんから「北海道へ行く」と聞いたときの気持ちはどうでしたか？
父が家出をしたと聞いたときは、「なんで？」「どうして？」よりも「早く見つけなければ！」という気持ちが強かったです。とても怖い考えではあるのですが、「もう会えないかもしれない...」とも思ってしまって。しかし布団もなくなっていると聞き、どこかで寝るつもりがあると分かり安心しました。
その後、父と連絡が取れて「北海道へ行く」と聞いたときは、父と話せてホッとした気持ちが強く、「父が元気であれば、何をしてもいいんではないか」と応援する気持ちが生まれていました。
──ご実家から離れて暮らしているとちょっとした変化に気付くことは難しいですよね。
実家から離れて暮らしていた私は自分の子どもや家族のことで手一杯で、両親が悩んでいることに一切気付きませんでした。父が家出してからはじめて実家の状況について知り、ここまで育てくれた両親のSOSに気付くことができたのです。
このエッセイ漫画をきっかけに、実家の様子を再確認してくれる方が1人でもいればなと思います。北海道まで家出しちゃったらフォローが大変ですからね笑
──全体を通して特に印象に残っているエピソードがありましたら、ぜひ教えてください。
最近SNSに投稿したエピソードなのですが、父の家出に落ち込んでいたはずの母がとった 意外な行動がお気に入りです。病気のこともあったので、母のこの行動には私も驚きました。
鹿児島から北海道を目指し、ロードムービーさながらに軽自動車で日本を縦断していくお父さん。花池すずさんたち4兄弟の様子やお母さんの変化にも注目です。
