私たちが笑顔を失った、あの頃。殺伐とする我が家で起きた「事件簿」/認知症ポジティブおばあちゃん

「介護」と聞くと「大変そう、辛そう」というイメージを抱く人も多いのではないでしょうか。しかし、そんな印象を覆すほど"ゆかいな介護生活"を送っている家族がいます。介護従事者や在宅介護に悩む人々から支持を集めるYouTubeチャンネル『認知症ポジティブおばあちゃん』を運営するだんだん・えむさんです。今回はそんな彼女の初著書『認知症ポジティブおばあちゃん~在宅介護のしあわせナビ~』より一部抜粋してご紹介。元気をくれてタメになる一冊です。

※本記事はだんだん・えむ(著)、遠藤 英俊(監修)の書籍『認知症ポジティブおばあちゃん~在宅介護のしあわせナビ~』から一部抜粋・編集しました。

【前回】「認知症かもしれません」医師からの突然の宣告におばあちゃんは...

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私たちが笑顔を失った、あの頃

負のループに殺伐とするわが家

思い返せば2017年から2018年は、おばあちゃんの認知症と最も壮絶に戦っていた頃です。

おばあちゃんの症状を書いた当時の記録が残っていました。

その一部をご紹介します。

●美容院の予約を何度もすっぽかして出禁になる

●かかりつけの歯医者さんに電話をかけまくって業務妨害をしてしまう

●「無理やり施設に入れられる」と義理姉に何度も電話をかける

●「テレビが映らない」「クーラーが動かない」と、電気屋さんに電話して大騒ぎ(本当は壊れていない)

●ショートステイを見学に行ったら「なんで施設に入らなくちゃいけないんだ」と怒って逃げ出す

●頂きものを近所中に配り、お隣に何度も行ってピンポンを鳴らしまくる

●妄想がひどくなり、怖い人がピンポンを鳴らして家を狙っているとおびえる

●息子を〝見知らぬ怖いおじさん〟だと思い込み、「孫を守らなきゃ」と騒ぐ

●「2階にお化けがいる」と受験勉強中の孫の部屋をうろちょろする

●睡眠薬の管理ができず、飲み過ぎで寝ぼけて怪我をすることが増えた

●一連のトラブルで受験勉強に集中できないと、孫が激怒。大阪赴任中の息子が毎日おばあちゃんへ電話で諭す。平日は毎日1、2時間ほど話していたが、聞く耳を持たず。話すたびに怒鳴り合い


このような出来事が1日に重複して起こり、家の中は恐ろしいほど殺伐としていました。

誰も悪くないのにみんなの心が追い詰められて、おばあちゃんからも、私たちからも笑顔が失われていました。

さらに追い打ちをかけたのが、おばあちゃんが軽い脳梗塞を起こして庭で倒れてしまったことです。

2週間程度で体力は回復し、大事には至りませんでしたが、さらに認知症が進行したように思います。

今思えば「認知症が進むかもしれない」という視点で認知症の専門医にも相談すればよかった。

医学的な勉強が不足していたことに後悔の念が残っています。

ごめんなさい、おばあちゃん。

 
※この記事は『認知症ポジティブおばあちゃん~在宅介護のしあわせナビ~』(だんだん・えむ/フォレスト出版)からの抜粋です。
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