「話す」は「放す」。相手が本当に必要としているのは...?/頑張りすぎない練習

人づき合い、仕事、家族の介護...「頑張る」はいいけれど、「頑張りすぎ」はダメ。無理せず、ほどよく、上手に休む―新聞、テレビ、ラジオ等で話題沸騰中、「現役看護師」の女性僧侶・玉置妙憂さん待望の新刊『頑張りすぎない練習 無理せず、ほどよく、上手に休む――』(マガジンハウス)より、心がラクになる生き方のヒントをお届けします。

【前回】適度な距離感。ほどよい無関心。諸行無常のご縁あり/頑張りすぎない練習

【最初から読む】「頑張りすぎ」は「何もしない」と同じ。頑張るためだけに生きてませんか?/頑張りすぎない練習

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相談されたら、まず「聞く」に徹する――アドバイスをしないテクニック

私は仕事がら、たくさんの方々から相談を受けます。

そのとき、私がいちばん気をつけているのは、「相手の邪魔をしない」ということです。

相談されると、つい"解決策"を考えてあげたくなりますよね。

「こうしたらいい」とか「ああしたらいい」とか。

でも、私はそれをしません。ひたすら聞くだけです。

なぜなら、"答え"を持っているのはその人だけだからです。

答えがあるとすれば、その人の中にしかありません。

答えは、自らが自分の中から探して見つけていくもの なのです。

もちろん、「探す」という作業はたいへんです。

だから多くの人は、誰かに相談したくなります。

相談という名の「グチ」ばかりのときもあります。

でも、グチを言いながら、実はその人は、自分の中にある答えを探しているのです。

話の流れで、「あなたはどう思う?」と聞かれるときもあります。

その場合は、「そうねぇ~」と一度受け流して、「あなたはどう思っているの?」と返します。

どうしても自分の意見を話すシチュエーションになったら、「私だったらの話だけれど~」とあくまでもこちら側の意見で、それが答えではないという念押しをする。

相手が本当に必要としているのは、アドバイスではありません。

考えるための材料なのです。

お釈迦さまが悟りをひらかれたとき、それを誰かに伝えようとは思いませんでした。

なぜなら、お釈迦さまの経験は、お釈迦さまだけの経験だからです。

でも、まわりの人々が放っておきませんでした。

どうしてもと頼まれて、お釈迦さまはいたしかたなく仏の道を説きはじめた、というのが仏教のはじまりです。

宗教というと、教祖さまがいて、経典があって、「神を信じなさい」というイメージがあるかと思います。

しかしお釈迦さまは、それとはずいぶん違います。

「私はこういうやりかたをして悟った。あなた方も試してごらんなさい」と、お釈迦さまはお話しされました。

「信じなさい」ではなく、「自分自身でハッと気づく以外にない」と説かれたのです。

とはいえ、ひたすら聞くだけの姿勢をとるのは、なかなか難しいことかもしれません。

「善意」が邪魔をします。

悩みを抱えている人から相談されたら、何とかしてあげたくなるのが人情というものです。

ですから、相談を受けたときは「聞くに徹する時間」をあらかじめ決めてください。

15分でも、30分でも、1時間でもかまいません。

その決めた時間は、あなたからはアドバイスをせず、ひたすら相手の話を聞きます。

こちらの意見を言いたくなるかと思いますが、そこはぐっとがまん。

「うん、うん」

「そうね」など、適度にあいづちをうちながら、相手の考えが整うようにうながします。

そして、相手が自分の中で整理がつき、答えが見つかったと思ったら、アドバイスをしてもOKです。

ただし、その場合でも、少し休憩をはさむか、日を改めるなどして、お互いにリセットした状態で意見交換するのがいいでしょう。

「話す」は、「放す」――。

人は話すことで、もやもやしていたものが放たれていき、整理がついていきます。

整理がつくと、自ずと答えにたどり着きます。

その途中でこちらがアドバイスをしてしまうと、相手は整理ができず、答えが見えなくなるのです。

その人は、また、同じように失敗したり悩んだりしてしまいます。

自分が相談するときには、この逆です。

相談役には、黙ってこちらの話を聞いてくれる人を選びましょう。

バシッとした答えが返ってくる人のほうが、相談のしがいがあるような気がしますが、ちがうのです。

「ふん、ふん」と話を聞いてくれる人、あなたのまわりにいませんか?

一見、頼りなさそうに見えますが、実は、その人こそ最高の相談相手かもしれませんよ。

【次回】これだけでラクになる、人付き合いの2つのルール/頑張りすぎない練習

【まとめ読み】『頑張りすぎない練習 無理せず、ほどよく、上手に休む―― 』記事リスト

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人づき合い、仕事、家族の介護...無理せず、ほどよく、上手に休む―現役看護師の僧侶が伝える心がラクになる生き方。

 

玉置妙憂

看護師。僧侶。スピリチュアルケア師。二児の母。現役の看護師として勤めるかたわら、非営利一般社団法人「大慈学苑」を設立し、 院外でのスピリチュアルケアにも注力。講演会やシンポジウムの開催を行うなど、幅広く活動する。著書に、『まずは、あなたのコップを満たしましょう』(飛鳥新社)、『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)、『困ったら、やめる。迷ったら、離れる。』(大和出版)など。

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『頑張りすぎない練習 無理せず、ほどよく、上手に休む――』

(玉置妙憂/マガジンハウス)

「現役看護師」の女性僧侶・玉置妙憂さんが贈る人生の教科書。人づき合い、仕事、家族の介護…「頑張る」はいいけれど「頑張りすぎ」はダメ。「頑張りすぎない考え方&実践法」満載の心がラクになる生き方をまとめた1冊です。

※この記事は『頑張りすぎない練習 無理せず、ほどよく、上手に休む―― 』 (玉置妙憂/マガジンハウス) からの抜粋です。
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