「劣等感を乗り越えろ!」令和こじらせ独身女子のサバイバル術/どうせなら、こじらせと仲良く生きたい

「こじらせる」という言葉が、「病気を長引かせる」「事態を面倒にする」以外の意味で使われ始めてから10年が経過しました。「女をこじらせる」「こじらせ女子」という用法を聞いたことはあるでしょうか。その発祥は、2011年12月に刊行された雨宮まみ氏の自伝的エッセイ『女子をこじらせて』(ポッド出版)です。

ただ、同書での定義を知らないまま、「卑屈で面倒くさい文化系の女性」「仕事と理想との兼ね合いで彼氏がなかなかできず悩む女性」くらいの意味で使っている人も、少なくありません。ウェブサイトやテレビ番組でも、このような誤用は目立ちます。なので、ちゃんとした意味を確認しておきましょう。

◆「こじらせる」の正しい意味◆

雨宮まみ氏著『女子をこじらせて』での記述をもとに定義するなら、「女をこじらせる」とは、「自分の女性性に自信が持てない女性が、負い目やコンプレックスを抱えながら生きている状態」を指します。

雨宮氏は10代の頃、外見や女子力によって人間の価値が測られる状況に直面し、その競争から脱落したことを同書で明かしています。

結果、男子の中でも女子の中でも「下層」扱いされ、「普通の、キレイな、恋愛とかしてる大人の女」になれないのではないか、という疑問を抱くようになりました。

のちに彼女はAV(アダルトビデオ)のライターとして活動を始めますが、AVの世界に興味を持った理由は、圧倒的な女性性によって男性の欲望を満たす女性たちが「まぶしくてまぶしくてたまらなかった」から。

つまり、自分とは正反対だったからです。

『女子をこじらせて』は刊行後、ある種の女性が内面に抱える大きな問題を切実に言語化した書として、多くの女性たちの共感を呼び起こしました。

筆者個人的には、少女の自意識を赤裸々に描いたさくらももこの『ちびまる子ちゃん』(86〜)、未婚女性の処世術を鮮やかに綴った酒井順子の『負け犬の遠吠え』(03)に並ぶ、日本の"文化系女子"の内面を鋭くえぐった名著だと思います。

◆病気とうまく付き合う◆ 

ざっくり言えば、こじらせ女子がこじらせている原因は「自己評価の低さ」です。

「自己肯定感の低さ」と言ってもよいかもしれません。

自伝的コミックエッセイ『どうせなら、こじらせと仲良く生きたい。』でも、著者・大日野カルコが「こじらせ」たきっかけは、小学生のとき仲良しグループで撮った写真で「自分はブサイクだ」と思いこんでしまったことでした。

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文・稲田豊史/1974年、愛知県生まれ。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年よりフリーランス。著書に『「こち亀」社会論 超一級の文化史料を読み解く』(イースト・プレス)、『ぼくたちの離婚』(KADOKAWA)、『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)。編著に『ヤンキーマンガガイドブック』(DU BOOKS)、編集担当書籍に『押井言論 2012-2015』(押井守・著、サイゾー)など。

漫画・大日野カルコ/神戸出身の漫画家・イラストレーター。別冊少女マーガレットにて別名義でデビューし、改名後はブログ漫画や商業イラストの執筆でも活躍中。現在『どうせなら、こじらせと仲良く生きたい。』を毎日が発見ネットで連載中!

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