著者・大島由果さんインタビュー
──『ハルとゲン』はウェブトゥーン、いわゆる縦スクロール漫画です。この形式の漫画は近年注目を集めているスタイルですが、いつからこの形式で漫画を描いていらっしゃるのでしょうか?
大島由果さん:縦スクロール漫画を描いたのは、2021年の第1回縦スクロールマンガ大賞に応募した作品『孫のマコ』が初めてでした。
──従来の紙書籍向けの漫画ではなく、スマホ向けの縦スクロール漫画を選んだきっかけや理由を教えてください。
大島由果さん:コロナ禍で外に出る事が少なくなり、本屋に行く事が減ってスマホで漫画を読む事が多くなった時、従来のスタイルの漫画では文字が読みづらく、縦スクロール漫画を読む事が増えました。
縦スクロール漫画は文字が見やすいのもあるのですが、枠線やページに左右されない表現もまた面白くて自分でも描いてみたいと思ったのがきっかけです。

──縦スクロール漫画のジャンルではプロットやネーム、作画や着色などを分業で描かれている作品も多いと聞いていますが、『ハルとゲン』は大島さんがすべておひとりで描かれているのでしょうか?
大島由果さん:最初は全部1人でやっていました。ですが、とても大変だったのでキャラクターの着色を友人に手伝ってもらっています。漫画の作業は孤独になりがちなのですが、その友人のおかげで時間的にもメンタル的にも共に助かっています。
──縦スクロール漫画を描く時にどんなことを心がけていますか? 従来のスタイルの漫画との違いで意識することや工夫していること、あるいは苦労する点、メリットやデメリットなどあれば教えてください。
大島由果さん:漫画としての表現を守りながらもスクロールする事でキャラが動いて見えるようにコマ割りでアニメーションの表現を入れたりもしてます。重要な場面は1画面で見せるようにして「見せ場」を作ってます。
画面が上から下に流れるので、吹き出しや効果音の位置に苦労してたりします。デメリットについては、私の漫画では描く事はないかもしれませんが、派手なアクションがある場合見開きで派手に見せる事ができないので苦労するのではないかなと思っています。

──縦スクロールの電子書籍が大きな反響を呼び、紙書籍の単行本になることが決まりました。どんな心境でしたか?
大島由果さん:とても嬉しかったです。そして、ありがたいなぁという思いが溢れてきました。書籍にして頂けたのも、読んでくださった方々、編集部の方々、「ハルとゲン」が描けるきっかけになった今まで出会ってきた方々のおかげなので。とても感謝の気持ちでいっぱいです。
──書籍を実際に手にとってみていかがでしたか? 紙面でご自身の作品を見た時の印象をおしえてください。
大島由果さん:「すごい!本になってるー」と感激しつつももしかして夢ではないのかしらと、ふわふわした気持ちになりつつ、やっぱり現実なんだなぁと感激しておりました。
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単行本用にコマ割りを再編集して発売された紙書籍は、ストーリーはそのままですが縦スクロール版とはまた違った味わいの作品になっています。赤ちゃん時代のハルとサクラの4コマエピソードやイラストなどの描き下ろしページも追加されるなど、作品ファンには嬉しい内容になっています。Web連載や電子書籍ですでに作品に触れている方も、縦スクロールとコマ割りの手触りの違いに注目してみてください。
取材・文=レタスユキ









