そんな風にしなくてもいいとわかっているけれど、関係においては、心が広い人のほうがどうしても立場が弱くなるように思う。
恋人だけでなく、友人知人、同僚との関係においても、お互いに対する態度に微妙な高低差があるように感じるときがある。
もしかして、相手の小さな親切に過度な意味づけをしたり、反対に、相手の何気ない行動にひとりでやきもきしてはいないだろうか。
そんなことがよくあるなら、あなたはその関係において自ら下に出ている可能性が高い。
人間関係の絶対的な幅が狭まる時期には、いっそう孤独に弱くなりやすい。
狭い中で人を求めるので、まわりのすべての関係がその存在だけでありがたく感じることもある。
もちろん、相手を大事にし大切に扱う方法は人それぞれ異なる。
けれども、相手がその関係において自分ばかり優先するのであれば、その存在自体にまで感謝する必要はない。
すべての関係はギブアンドテイクではないか。
相手も私との関係において得ている価値が必ずあるはずなので、誰かが自分に声をかけてくれるということだけで、借りを作ったかのように振る舞う必要はない、ということだ。
関係を結んでいる相手や状況によって、自分自身の立場や態度も自然と変わる。
意図していなくても、私もかつて誰かにとって強者であったり、今まさに横暴を働いているかもしれない。
だから、かつて弱者だった、あるいは今現在弱者である自分を過度にかわいそうに思う必要もない。
ただ、今、ある関係において弱者の立場に甘んじているならば、そんな態度がその次の関係、さらには自分自身との関係につながり、人生そのものに影響を与える可能性もある、ということはぜひ覚えておきたい。
自ら弱者の役割を脱ぎ捨てなければ、自分でも気がつかないうちに世の中から不当な扱いをされてしまうかもしれないから。
続きは本書でお楽しみください
【まとめ読み】『ほっといて欲しいけど、ひとりはいや』記事リスト
日韓で多くの共感を呼んだ著者が語る、人間関係に疲労した人のためのデトックスエッセイ。疲れた心のお守りになる一冊です。