先駆の絵師魂! 父娘で挑んだ画の真髄「暁斎・暁翠伝」 東京富士美術館にて開催中

河鍋暁斎(かわなべ・きょうさい 1831~1889)は、幕末から明治前半にかけて活躍した絵師です。その名を聞いて、美人画を思い描く方もいれば、幽霊や妖怪の絵が浮かぶ方、動物画や山水画でご存知の方もいるのではないでしょうか。現在、東京富士美術館では河鍋暁斎とその娘で同じく絵師の暁翠(きょうすい 1868~1935)の父娘の作品展を開催しています。

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「枯木寒鴉図」暁斎 明治14年(1881)榮太樓總本鋪蔵

 

「描けぬものは無い」絵師、河鍋暁斎

暁斎の絵画人生は、数え3歳で蛙を写生したことから始まりました。7歳で浮世絵師・歌川国芳に入門、10歳で駿河台狩野派の前村洞和、ついで当主の狩野洞白陳信から本格的な画法を学び、19歳で洞郁陳之の画号を授けられて修業を終え独り立ちします。その後も学べる限りの画風を習得し続けます。まさに絵画修業に明け暮れた人生。

狩野派の風格を感じさせる美人画から、ユーモアあふれる戯画・風刺画、いせ辰の千代紙のデザインまで、「描かぬものは無し」と思えるほどにその作風はバラエティに富みます。それは、どんなものでも「描けぬものは無い」実力の持ち主だからこそ成し得た偉業と言えるでしょう。

<注>
歌川国芳:うたがわくによし/駿河台狩野派:するがだいかのうは/前村洞和:まえむらとうわ/狩野洞白陳信:かのうとうはくのりのぶ/洞郁陳之:とういくのりゆき

 

人物三長図.jpg「人物三長図」暁斎 ※前期展示

 

暁斎の情熱と遺伝子を受け継ぐ、長女・暁翠

暁斎の情熱と遺伝子を受け継ぐ、長女・暁翠。今回、暁斎とその長女である暁翠との父娘作品の共演が実現しました。幼少期から父に絵を学び、数え17歳で画家デビューを果たした暁翠は、錦絵や能・狂言画で評価を受け画家として自立します。暁斎の絵画への熱情と遺伝子を受け継いだ暁翠の作品の数々は、父同様に多才にして多彩です。また、暁翠は明治30年代半ばに私立女子美術学校(現・女子美術大学)で女性初の日本画教師も務めました。

女流画家にして女子美術教育の先駆者。河鍋父娘は今日に繋がる美術界の、革命的な存在と言えそうです。暁斎の曾孫であり暁翠の孫にあたる河鍋暁斎記念美術館の館長・河鍋楠美さんによると、暁翠は大変に鷹揚な人柄であったようですが、娘にも孫にも画家になることはおろか筆を持つことも禁じたそうです。画業の厳しさを知るからでしょうか、父から継いだ身の苦労からでしょうか。とても感慨深いエピソードです。

 

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「七福神入浴図 ポスター」暁翠 ※展示期間は5/2~5/13

   
暁斎の真髄を垣間見られる下絵も展示

河鍋暁斎美術館では3000枚を超える暁斎の下絵や画稿といった作品や資料が保存・研究されています。今回の展覧会ではその貴重な下絵も展示されています。それらを見ると、暁斎の筆線の美しさはもとより、人を描く時に人間の骨格から描き、そこに肉や着物をつけていっている「着服図法」などの技法も見て取れます。

描くことへの貪欲なまでの学びと推敲。暁斎の絵師の真髄を下絵から垣間見ることができます。本展では、みなさんがご存知の暁斎にも、知らなかった暁斎にも、そしてその娘で絵師の暁翠に繋がる遺伝子にまで出会える好機となることでしょう。ぜひ、お出かけになってみませんか。

 

鬼と美人の相合傘 暁翠.jpg「鬼と美人の相合傘」 暁翠 ※前期展示

 

「曉斎 曉翠伝」

●会期:4月1日(日)~6月24日(日)

※展示替5月14日(月)【前期4月1日(日)~5月13日(日)/後期5月15日(火)~6月24日(日)】

●観覧料:1,300円他
●会場:東京富士美術館

●住所:東京都八王子市市谷野町492-1

●開館時間:10:00~17:00(16:30受付終了)

●休館日:月曜日

(祝日の倍は開館。翌日火曜日が振替休館)ただし、4月2日(月)は開館。

●交通:JR「八王子駅」北口、京王線「京王八王子駅」、JR「拝島駅」、JR「秋川駅」よりバス。
●問い合わせ:東京富士美術館 042-691-4511

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