『OK食材、NG食材もズバリ! 認知症を防ぐ最高の食べ方』 (山根 一彦/KADOKAWA)第1回【全10回】
大好きだった祖母が認知症を発症したことをきっかけに、認知症の予防法の普及に生涯をかける決心をしたという山根 一彦さん。医学博士として、認知症専門人材の育成、教材開発に携わってきました。これまで多数の認知症関連書籍の監修・執筆活動を行ってきた山根さんが、著書『OK食材、NG食材もズバリ!認知症を防ぐ最高の食べ方』(KADOKAWA)で伝授しているのは、認知症の最新情報や、認知症を予防、改善するための食材や食べ方です。今回はその中から、認知症リスクを減らすために毎日食べたい食材の食べ方と選び方をご紹介します。
※本記事は山根 一彦著の書籍「OK食材、NG食材もズバリ! 認知症を防ぐ最高の食べ方」から一部抜粋・編集しました。
【OK食材】水
摂りたい食材の筆頭格だが不足しがち
水は、認知症予防のために積極的に摂ってほしいものの筆頭格です。「水なんて、誰でも飲んでいるじゃない?」「水くらいで、認知症に本当に効果があるの?」と不思議に思われたでしょうか。
でも、水のじゅうぶんな摂取が、認知症に有効だというのは事実です。認知症の患者さんに意識的に水を飲んでもらったら、顔つきが変わった、言葉がハッキリしてきた、夜の徘徊や暴力・暴言のような症状が改善したということは、私の相談者さんたちからも頻繁に報告されています。
実際に『Nutrients』という栄養学系のジャーナルでも、アルツハイマー型か脳血管性かを問わず、認知症の患者さんは健常者に比べて脱水状態になっている割合が高いことが報告されています。
私たちの体の60%は水分でできています。たとえば、体重50キログラムの人は30キログラム、つまり30リットルの水が体の中にあるということ。その水分のうちの約6割が細胞の中、約4割が血液や細胞外液として存在しています。
人は年齢を重ねると、体内に蓄えられる水分量が減ります。そのうえ、喉の渇きを感じにくくなったり、トイレに行くのが億劫だからと水分を控えたりしていると、脱水を起こしやすくなります。
認知症が心配ならば、いつも水をじゅうぶんに摂って、水分不足に陥らないよう注意が必要です。水はこまめに飲んでいる分には、基本的に「摂りすぎ」になることはありません。
では、具体的にはどのくらい飲めばじゅうぶんなのでしょうか。
私たちの体からは1日に、排泄、呼吸や汗などによって、約2.5リットルの水分が出ていきます。
それに対して、食事から摂れる水分はせいぜい1リットルほどです。体内で作られる水(代謝水)が0.3リットルほどなので、残り1.2リットルは飲み物から摂る必要があります。
それよりも少し多めの1日1.5リットルを目標に、水を飲むようにしてみましょう。
少しずつ飲むのがコツです。一気に飲んでも、ほとんどが尿になって排出されてしまいます。