女性ホルモン足りてますか? 納豆が女性の健康づくりに効果的な「エクオール」を生み出す/発酵食品

pixta_29629528_S.jpg酒かす、漬物、ヨーグルト...食卓には発酵食品があふれています。特に日本ではみそやしょうゆなどを調味料として多用しているので、気付かないうちに、私たちは日々発酵食品を口にしています。そしてそれらが"体に良い"ということを、私たちは経験から知っています。では、いったいどのように体に良い作用が起きるのでしょうか。

発酵食品は微生物の代謝によってつくられています。微生物とは、いわゆる菌のこと。その菌類が腸内環境と深いかかわりがあるのです。発酵食品がどうして体に良いか、どのような良い作用があるのか、腸研究の第一人者・東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生に伺いました。

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前の記事「「ファスティング」って結局なんで体にいいんだっけ? 医師に聞いてみた/発酵食品(11)」はこちら。

 

更年期障害などを抑えるエクオール

女性の健康や美容に良いと、最近注目されている成分があります。「エクオール」です。エクオールも腸内細菌と発酵食品にかかわりがあります。

「エクオールは、腸内細菌が大豆イソフラボンからつくり出す成分です。イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをすることで知られていますが、エクオールは大豆イソフラボンよりもその働きが強く、更年期障害の症状の緩和などに有効と考えられ、いまさまざまな研究がすすめられています」(藤田先生)

エクオールの原料は大豆イソフラボンなので、エクオールを体内で作り出したいのなら納豆やみそなどの発酵食品をはじめとする、大豆製品がおすすめです。
しかし納豆を食べたとしても、エクオールを生成できる人とできない人がいます。

「腸内でエクオールをつくりだせる人は、日本人だと約2人に1人だといわれています。それは、腸内にどのような細菌がいるかは個人により異なるため、エクオールを生成できる腸内細菌を持たない人ではエクオールを作りだせないからです。
しかし2人に1人という割合は欧米に比べて高い割合です。これにも食生活が影響していると考えられます」(藤田先生)

納豆をどれだけ食べても、エクオールを作りだす腸内細菌をもたないとその恩恵にあずかれないというのは女性には少々がっかりなお話です。
「しかし働きの強弱はありますが、大豆イソフラボンも同じ働きをするので納豆やみそを食べることで同様の効果を得ることはできます」(藤田先生)
最近はエクオールのサプリメントも開発されているので、そういったものでとるのも一つの方法かもしれません。

 
エクオールを作れる人と作れない人がいるのはなぜ?

個人によりもっている腸内細菌の種類が異なるというお話をしましたが、それはなぜなのでしょうか。それは、私たちがどのような環境に生まれ、育ってきたかが関係しています。

「腸内細菌の組成は生後約1年でほぼ決まってしまいます。私たちは生まれる前、母親の胎内では無菌状態で過ごしています。そして生まれる瞬間からいろいろな菌をとり込むことで独自の腸内細菌叢を形成していきます。赤ん坊は産道を通るときに初めて菌に触れます。そして生きていく中で、ハイハイしたり人と触れ合ったりするうちにさまざまな菌をとり込むのです。
例えば私は漬物文化のある京都育ちの母親から生まれ、キムチを好む食文化である韓国人の乳母に育てられましたので、私にはそれらに由来する乳酸菌の種類が多いだろうと考えられます。
海藻類を分解する腸内細菌は日本人に多いものですが、それは日本には伝統的に海藻を食べる食文化があるからです」(藤田先生)

このように腸内細菌は環境や食生活により個々に形成されていくといわれています。そのためエクオールを作れる細菌をもつ人ともたない人が存在すると考えられています。

それでは、腸内細菌の組成が決まっているから私たちが腸内細菌のためにできることはないのかというと、そうではありません。腸内細菌の組成が決まっていたとしても、腸内フローラのバランスは食生活で改善することができます。あきらめず、腸活で健康維持を心掛けることが大切です。

関連記事:「間違った腸活をしてませんか?絶対必要な2つの要素とは?/発酵食品(10)

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<教えてくれた人>

藤田紘一郎先生

1939年、旧満州生まれ。東京医科歯科大学卒業。東京大学医学系大学院修了、医学博士。金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、東京医科歯科大学名誉教授に。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。1983年に寄生虫体内のアレルゲン発見で、日本寄生虫学会小泉賞を受賞。2000年にヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉賞を受賞。著書に『9割の病気は腸で治せる!(中経の文庫)』(KADOKAWA)、『病気にならない乳酸菌生活』(PHP研究所)、『最新!腸内細菌を味方につける30の方法』(ワニブックス)など多数。

 

取材・文/ほなみかおり

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