間違った腸活をしてませんか? 絶対必要な2つの要素とは?/発酵食品

pixta_33881851_S.jpg酒かす、漬物、ヨーグルト...食卓には発酵食品があふれています。特に日本ではみそやしょうゆなどを調味料として多用しているので、気付かないうちに、私たちは日々発酵食品を口にしています。そしてそれらが"体に良い"ということを、私たちは経験から知っています。では、いったいどのように体に良い作用が起きるのでしょうか。

発酵食品は微生物の代謝によってつくられています。微生物とは、いわゆる菌のこと。その菌類が腸内環境と深いかかわりがあるのです。発酵食品がどうして体に良いか、どのような良い作用があるのか、腸研究の第一人者・東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生に伺いました。

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腸内細菌を活性化する2つのコツ

ヒトの免疫力の70%を腸がにない、腸内フローラの状態により私たちの体調は良くも悪くもなります。善玉菌を活性化し、日和見菌を味方に付けることが私たちを健康に導いてくれます。また、体の健康だけでなく、ストレス緩和などにも腸内細菌はかかわっています。

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微生物が生み出す発酵食品は腸内細菌を活発にし、これらの恩恵を受けるのに役立ちますが、「腸活」(腸に良い活動をすること)にはポイントがあります。一つは「善玉菌、特に乳酸菌を活性化させること」、2つめは「日和見菌を豊かにすること」。そのためには、以下の2つが大切です。

1.いろいろな発酵食品を毎日とりましょう。
肌に良い、便秘解消になるなど何かの効果を聞くと、その食品ばかりを集中して食べてしまったり、一度にたくさんの量を食べてしまったりと食生活が偏りがちになる人がいます。
しかし、いろいろな発酵食品を少しずつ、毎日食べることが大切です。
「発酵食品には多様な菌が含まれています。例えば漬物(※)は乳酸菌のほかにも酵母菌が、みそには麹菌のほかにも乳酸菌や酵母菌が含まれています。

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私たちの腸内細菌も多様な菌からできているので、とり込む菌の種類が多ければその分腸内細菌を活発にすることができます。いろいろな発酵食品を食べて多様な菌をとり込むことが腸内フローラのバランスを整えるのに有効なのです」(藤田先生)
※漬物には梅干しなどの発酵を伴わない漬物と、ぬか漬けや麹漬けなど発酵を伴う漬物があります。

2.善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖をとりましょう。
腸内細菌を活性化させるにはエサが必要です。
「乳酸菌をはじめとする善玉菌の好物は食物繊維とオリゴ糖。食物繊維はごぼうやオクラなどの野菜、海藻などに、またオリゴ糖は玉ねぎなどに多く含まれています」(藤田先生
また、ヤセ菌であるバクテロイデス門の日和見菌も、これらをエサとして短鎖脂肪酸を作り出しています。

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ほかにも腸活には、活性酸素を抑える抗酸化力のある野菜や果物をとること、添加物の入った食品をとらないことを藤田先生は推奨しています。
「添加物は腸内細菌の活動を低下させると考えられるので、できるだけ避けて食品を選びたいですね。また、抗酸化成分のある緑黄色野菜を食べることは腸内フローラに良いだけでなく、生活習慣病予防などにも有効です」(藤田先生)

 

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腸内フローラが乱れると、腸に穴が開くこともある!?

腸活がいかに大切かは、腸内細菌の働きを考えると分かります。腸内細菌と腸の主な働きは以下の通りです。

・病原体の排除
・食べ物の消化吸収
・ビタミンBやビタミンKの合成
・ホルモンや酵素の合成
・幸せホルモン(ドーパミン、セロトニン)の合成
・免疫機能の維持
・便の形成 など

腸内フローラが乱れるとこれらの機能が低下し、健康を阻害する恐れがあるのです。
さらに驚くのは、腸内環境が悪化すると、腸に穴が開いてしまうことがあること。
「ヤクルトと順天堂大の研究チームが発見したのですが、血液中に腸内細菌や食べ物のかすなどがもれだしている、いわゆる"腸もれ"の状態です。欧米では"リーキー・ガット・シンドローム"と呼ばれています。"ガット"とは小腸のことで、これは小腸の粘膜が弱くなってすき間ができ腸内にある物質が血液中にあふれ出る(リーク)することです。これにより敗血症やアレルギーなどになるリスクが高まると考えられます」(藤田先生)


こういったことになる前に、腸活で腸内フローラを整えることは大切です。これまでの食生活で腸内環境が乱れていたとしても、今後の腸内フローラの状態は食生活で改善することができます。発酵食品生活は手軽にスタートできる腸活なのです。

 

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<教えてくれた人>

藤田紘一郎先生

1939年、旧満州生まれ。東京医科歯科大学卒業。東京大学医学系大学院修了、医学博士。金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、東京医科歯科大学名誉教授に。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。1983年に寄生虫体内のアレルゲン発見で、日本寄生虫学会小泉賞を受賞。2000年にヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉賞を受賞。著書に『9割の病気は腸で治せる!(中経の文庫)』(KADOKAWA)、『病気にならない乳酸菌生活』(PHP研究所)、『最新!腸内細菌を味方につける30の方法』(ワニブックス)など多数。

 

取材・文/ほなみかおり

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