ヨーグルトなら何でもいいと思っていませんか?「マイ乳酸菌」を知らないと損してるかも?!/発酵食品

pixta_40170559_S.jpg酒かす、漬物、ヨーグルト...食卓には発酵食品があふれています。特に日本ではみそやしょうゆなどを調味料として多用しているので、気付かないうちに、私たちは日々発酵食品を口にしています。そしてそれらが"体に良い"ということを、私たちは経験から知っています。では、いったいどのように体に良い作用が起きるのでしょうか。

発酵食品は微生物の代謝によってつくられています。微生物とは、いわゆる菌のこと。その菌類が腸内環境と深いかかわりがあるのです。発酵食品がどうして体に良いか、どのような良い作用があるのか、腸研究の第一人者・東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生に伺いました。

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マイ乳酸菌ってなに? 相性の良いヨーグルトの見つけ方

ヨーグルトやチーズに代表される乳酸菌は善玉菌の一種であり、体に良いことは広く知られています。健康のために毎朝ヨーグルトを食べている、という人も多いのではないでしょうか。しかし、ここに落とし穴がありました。
人によって乳酸菌には合う種類と合わない種類があるのです。

乳酸菌というのは1種類の菌ではなく、ビフィズス菌、ブルガリ菌、ガゼリ菌など多様にあります。
「腸内細菌の種類は個人個人で異なりますが、その種類は生後約1年で決まると考えられます。そのため、個人がもつ腸内細菌の種類により、その人に合う乳酸菌が異なるのです」(藤田先生)

個人がもともともっている乳酸菌を藤田先生は"マイ乳酸菌"と呼んでいます。乳酸菌は腸内で善玉菌を活性化し、悪玉菌を抑制するのに役立ちますが、マイ乳酸菌でなければ生きて届いたとしても、腸から排出されてしまいます。マイ乳酸菌に種類が似た相性の良い菌をとり込むことが大切です。

では、マイ乳酸菌に合うヨーグルトはどうやって見つけたらいいのでしょう。
「マイ乳酸菌を調べることは困難です。だからヨーグルトを食べ続けて自分に合うか合わないかを見極める必要があります。まずは同じ種類のヨーグルトを2週間食べ続けてみてください。そして便通や肌の調子が良くなったか、体調をよく観察しましょう。改善していれば、それがあなたに合う乳酸菌です。変化がなければ、別のヨーグルトを試してみましょう」(藤田先生)

 
死んだ乳酸菌が腸内細菌を活性化させる

コマーシャルでよく「生きた乳酸菌を届ける」といううたい文句がありますが、生きて届いたとしても、その乳酸菌が腸に定着することは困難だと藤田先生は言います。

関連記事:「生きた乳酸菌を届けたい! ヨーグルト、漬物...何を選べばよい?/発酵食品(5)

「乳酸菌は胃酸に弱く、腸に届く前に90%は死んでしまいます。また腸に届いたとしても、もともと腸内にすんでいる細菌の活動が優勢なため、マイ乳酸菌でなければ腸に定着することはできません」(藤田先生)

胃酸に強い乳酸菌を使ったヨーグルトなども商品化されていますが、それでも菌は腸に届いてから2~3日で死んでしまうそうです。

「もちろん菌は生きたまま腸に届いた方が腸内細菌は活発になりますので、胃酸に強い乳酸菌を使った商品の方が、そうではない商品に比べて腸内細菌を活性化するのには有効と言えます。しかし菌は死んでしまっても仲間を増やすための因子を残し、ほかの腸内細菌を活性化してくれます。

重要なのは生きたまま届けることよりも、腸へ菌を送り続けることです。
ヨーグルトなどの乳酸菌は乳酸や酪酸、プロピオン酸などの代謝物を生み出しますが、これらが腸内環境の改善や免疫細胞の活性化に役立っていることが分かってきています。生きている・死んでいるは関係なく、乳酸菌群を腸へ届けるということ自体が重要なのです」(藤田先生)

乳酸菌を活性化するには、菌の好物であるオリゴ糖をとることも有効です。オリゴ糖は玉ねぎや大豆製品に多く含まれ、乳酸菌のエサとなって乳酸菌の増殖を助けてくれます。
また、乳酸菌が含まれる発酵食品はヨーグルトやチーズなど乳製品だけではありません。
納豆、ぬか漬け、みそ、しょうゆなど日本の発酵食品にもたくさん含まれています。

特にみそやしょうゆなどは乳酸菌のほかにも麹菌、酵母菌など多様な微生物が含まれているので、多様な細菌をもつ腸内環境を活性化するのに役立つと考えられます。

 
<乳酸菌生活のコツ>
1.マイ乳酸菌を見つけるには、1種類のヨーグルトを最低でも2週間食べ続けましょう。
2.乳酸菌は胃や腸で死んでしまうので、毎日新しい菌を腸へ届けましょう。
3.乳酸菌の好物であるオリゴ糖をとりましょう。

 

次の記事「間違った腸活をしてませんか? 絶対必要な2つの要素とは?/発酵食品」はこちら。

取材・文/ほなみかおり

 


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藤田紘一郎先生

1939年、旧満州生まれ。東京医科歯科大学卒業。東京大学医学系大学院修了、医学博士。金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、東京医科歯科大学名誉教授に。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。1983年に寄生虫体内のアレルゲン発見で、日本寄生虫学会小泉賞を受賞。2000年にヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉賞を受賞。著書に『9割の病気は腸で治せる!(中経の文庫)』(KADOKAWA)、『病気にならない乳酸菌生活』(PHP研究所)、『最新!腸内細菌を味方につける30の方法』(ワニブックス)など多数。

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