納豆もヨーグルトも、みそも! 発酵食品は腸内フローラを整える最高の食品の一つです/発酵食品

pixta_38581288_S.jpg酒かす、漬物、ヨーグルト...食卓には発酵食品があふれています。特に日本ではみそやしょうゆなどを調味料として多用しているので、気付かないうちに、私たちは日々発酵食品を口にしています。そしてそれらが"体に良い"ということを、私たちは経験から知っています。では、いったいどのように体に良い作用が起きるのでしょうか。

発酵食品は微生物の代謝によってつくられています。微生物とは、いわゆる菌のこと。その菌類が腸内環境と深いかかわりがあるのです。発酵食品がどうして体に良いか、どのような良い作用があるのか、腸研究の第一人者・東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生に伺いました。

前の記事「生きた乳酸菌を届けたい! ヨーグルト、漬物...何を選べばよい?/発酵食品(5)」はこちら。

 ◇◇◇

腸内は細菌の宝庫! 発酵食品が免疫力をつかさどる腸内細菌を活性化します

発酵食品とは、カビ、酵母、細菌といった微生物(菌)の作用によって生み出されるものです。納豆なら納豆菌、ヨーグルトなら乳酸菌など、これらの微生物の代謝によって原材料が変化し、発酵という過程を経ておいしい食品ができあがります。発酵食品自体に微生物がたくさんすんでいるのです。菌が体に良い影響を与える理由には、腸内環境と深いかかわりがあります。

関連記事:「発酵食品とは? 納豆や麹が体にいいのはなぜ?/発酵食品(1)

「腸内フローラ」という言葉を聞いたことはありますか? 私たちの腸には200種、100兆個もの数の細菌が生息しているといわれ、腸内細菌の生態系が植物の集まり(フローラ)のような集合体を作っていることから、そう呼ばれています。

「食べ物を消化吸収する腸からはさまざまな病原菌も侵入します。その病原菌の侵入を阻止するのに活躍するのが腸や腸内細菌で、私たちの体の免疫力の70%をになっています。腸管を覆う上皮細胞には病原菌を侵入させないようにする役割があり、腸内細菌にも病原菌を排除しようとする働きがあります」(藤田先生)
腸内環境はこれほど私たちの健康に深くかかわっているのです。

腸内細菌は大きく3つに分類されます。
乳酸菌、ビフィズス菌など体に良い働きをするものを「善玉菌」、ウエルシュ菌、ブドウ球菌など体に悪い働きをするものを「悪玉菌」と呼び、善玉菌と悪玉菌の優勢な方に味方をするどっちつかずのものを「日和見菌」と呼びます。

「腸内で善玉菌が増えると体調は良くなり、悪玉菌が増えると体調が悪くなります」と藤田先生。その腸内細菌を活性化させるカギとなるのが、日和見菌と発酵食品です。

 

<菌の種類と働き>

SnapCrab_NoName_2018-9-26_10-29-5_No-00.jpg

発酵食品で日和見菌をいかに活性化させるかがポイントです

私たちが食べたものは最終的に腸に送られて消化・吸収されます。発酵食品を食べることは腸内細菌の仲間である菌自体を腸へ送り込むことになり、それが腸内細菌を活性化してくれます。

体に良い影響をおよぼす善玉菌を活性化させるために、例えばビフィズス菌や乳酸菌を含むヨーグルトを食べるようにするのはもちろん有効です。しかし、それだけではありません。

「日和見菌は善玉菌・悪玉菌のうち勢力が優勢な方に味方すると考えられており、腸内の善玉菌:悪玉菌:日和見菌の理想的なバランスは2:1:7です。日和見菌がどちらに味方するかが健康を左右するといえます。そのため、日和見菌も活性化させることが大切です。
日和見菌の多くは、もともとは土の中に生息する菌・土壌菌です。例えば納豆は枯草菌(こそうきん)という土壌菌の仲間でできていますので、納豆は日和見菌を活発にするのに有効です。(藤田先生)

関連記事:「甘酒、納豆、漬物...日本の発酵食品はこんなに優秀!/発酵食品(4)

ところが、発酵食品で取り入れられた細菌は腸内で活動し続けるのかというとそうではなく、多くは腸に届くまでに死んでしまいます。ということは、発酵食品を食べることは意味がないことなのでしょうか。
「細菌の多くは腸にたどり着いても定着することができず、排泄されてしまいますが、死んだ菌にも大切な役割があります。菌は死ぬ前に仲間の菌を増やす因子を腸内に残していきます。この因子により腸内で仲間の細菌が活発になるのです。
だからいろいろな細菌がいる発酵食品を食べると腸内の細菌が活発になり、免疫力を上げることができるのです」(藤田先生)

逆に悪玉菌が優勢になると免疫力が落ち、がん、うつ病などさまざまな病気になる危険性が高まります。発酵食品を食べて腸内フローラを美しくすることが、健康への近道なのです。

 

次の記事「これを食べれば「ヤセ菌」が増える! 腸内環境を整える最強発酵食品とは/発酵食品(7)」はこちら。

取材・文/ほなみかおり

 

 


fujita4.JPG

藤田紘一郎先生

1939年、旧満州生まれ。東京医科歯科大学卒業。東京大学医学系大学院修了、医学博士。金沢医科大学教授、長崎大学教授、東京医科歯科大学教授を経て、東京医科歯科大学名誉教授に。専門は寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。1983年に寄生虫体内のアレルゲン発見で、日本寄生虫学会小泉賞を受賞。2000年にヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉賞を受賞。著書に『9割の病気は腸で治せる!(中経の文庫)』(KADOKAWA)、『病気にならない乳酸菌生活』(PHP研究所)、『最新!腸内細菌を味方につける30の方法』(ワニブックス)など多数。

PAGE TOP